むかしむかしの物語

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今のオレはお腹がいっぱいで、あったかい寝床(ねどこ)があればそれだけでよい。 熱々(あつあつ)のキノコ汁とイワナを腹に収めると、オレはごろりと横になり眠った。 目覚めると、棲み家のあばら家の隙間から太陽が見える。 あの高さだともう日中だな。 オレはもう腹が空いている事に気がつき、また川に出かけた。 洗濯ついでに服のまま飛び込むと、渓流の冷たさにいっぺんに眼が覚める。 しばらく泳いで、浅い所で小さなカニを3匹ほど捕まえて、石でとどめをさすと びしょびしょの服をしぼって干した。 日なたの岩場にふんどし一枚でそのまま横になると、 お日さまの光が、つむったまぶたに赤く差し込む。 じんわりとした暖かさが、心地よい。
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