むかしむかしの物語

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オレは思わずその童子(どうじ)から二歩三歩と後ずさった。 童子は歩を速めると、ぽーんとオレの足にしがみついた。 「オヌシは大きいのう。ワレが見た中でいちばん大きいぞ?」 オレは慌てて足をばたばたして振りほどこうとしたが、 それは童子を余計面白がらせたようだ。 キャッキャと声をたてて笑い出した。 こんなフザケタ状況は、オレには納得が出来ない。 どこからこんな童子が湧いて出てきた。 この辺では見たこと無い顔だし服装だが、親はいないのか? オレはきょろきょろとしたが、他に人影もない。 オレは見なかった事に決めた。 足に童子をしがみつかせたまま、未だ濡れた服を身につけると、 カニを拾って棲み家に戻る その内にどこかに行くだろう。 途中で流石(さすが)に腕がつかれたのだろう。 ころりと地面に落ちたが、振り向きもしないオレの後ろにぴょんぴょんと着いて来る。 歩を速めてもまだ諦めない事に気付いて、走って棲み家へもぐりこんだ。 いつもはしない扉に、心張(しんば)り棒をあてがうと戸板の隙間から外を伺った。 「ここまで追いつく訳ないか・・。なんだったんだ・・・?」
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