むかしむかしの物語

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ふと数日前に、もう里山に降りてきたのかと驚いたイノシシがいた事を思い出した。 「まさか・・出会うなんて事・・ないよな・・?」 オレは一度童の時に、大イノシシに追いかけられて、死に物狂いで逃げたのを想い出した。 ふるふると頭を振るって、あんなチビスケのヤツ 別に野垂(のた)()のうがオレには関係はないぞと思い直した。 まだからみついた腕の感触の、温かさが残っている足を無意識にごしごしとこすった。 オレは心張(しんば)り棒を持って外に出て、耳を澄ました。 ふと、鳥が鳴く様な高い叫びが聞こえた気がした。 オレはいつの間にか走り出していた。 「おいっ!どこだっ!小僧っ!」 山の斜面に先ほどの童子が倒れていた。 オレは慌てて駆け寄って抱き上げた。 「大丈夫か!やられたのか?!」 「オヌシ、待っておったぞ。ワレも何か喰いたい。」 童子はオレの首に腕を回すと、ぎゅううとしがみついてにこにこと笑いかけた。 あんぐりと口を開けて、オレは童子に(はか)られたのに気付いた。 後悔したがもう遅い。 オレはとぼとぼとそのまま童子を抱いて、棲み家に連れて行った。 オレはこんな事で迎えに行ってしまった自分自身が、よく解らずに腹立たしかった。
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