プールの上 お日様はにこにこ 俺はいらいらして泳いでる

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: 昔から夏は嫌いだ。シンメトリーな向日葵の綺麗さも氷で冷やされた素麺が光るのも嫌い なのである。 それは大体暑さとか言う奴の仕業だと思うし、だけど人も関係してると思うし まあそんな事は置いといて、アイツの家に着いたっと 相変わらずの無駄に綺麗な家と山の上にある 不便さよ…… 「たーかーだー」 インターホンに言う 「はいっ」と、返事は返った。髙田本人だ 数秒して、扉は開かれる 「いらっしゃいな。みもりん」 髙田はそう言って、中に入って行くので着いてゆく。首にはタオルが巻かれていた。 家の中も相変わらずだ、部屋が割とあって、 高そうな壺とか置いてあって、良く掃除がされている。 だけど、今はどうでもいい。 目的はそうじゃないのだから 「髙田の親は今日居ないん?」 「んー居ない。実家帰った」 「帰ったって……洗濯とかは?」 「コインランドリー行ってる。料理も出来るしね」 「いや、問題はそこじゃなくて……」 「いいの。問題なんか気にしなくて」 たわいも無い会話だ。髙田は既に下が水着になってる。ズボン、いつの間にか脱いだのか 「ではではーご覧あれ。(うち)のプール」 ガラス戸が引かれる。そこには間違い無くプールがあった。嫌な事に水面はお日様で所々輝いていた 「本当に凄いな。家にプールなんて……って?!」 飛び込んだ。遅い、俺はそうだ遅かった…… ましてやこの髙田の前では 「おいっ!上は!?上はどうするんだよ!」 「あ、これー?えいっ」 呆れた。上なんて脱ぎ捨てていいってか……?はぁ 「着替えるから待ってろ」 「あっいー!」 ━━━━━━━━━━━━━━━ 「みもりん相変わらず筋肉すごーい!」 「さ、触んな……!」 無邪気に腹を触られると、体温が2℃ぐらい上昇する感覚だ。気持ち悪いと言うか恥ずかしい。毎年だけど 「みもりん何メートル泳げるー?」 「大体62メートル。大体な」 「きゃーー!去年より伸びてるー!」 あぐっ?!もがっ!ちょ……あ……ああ! 「……っはぁ!いきなり沈めんな!馬鹿っ!」 「いったい!あはは、久しぶりのゲンコツだ」 髙田は何も考えて無いのか、笑顔で浮いたり沈んだりを繰り返してる。 俺は疲れたので、プールサイドに寄りかかって休む。ああ、お日様だ。今日も人を殺してるお日様だ。雲だ。俺だ…… 「なあ」 「ん?」 「髙田は夏は好きか」 特に聞きたい事でも無いが、聞いてみた 「好きじゃない」 回答がそれだ。意外かと思いきやこれが意外じゃない。それはこの後言うことが大体分かってるから 「だっていっつもお袋と親父、実家帰っちゃうんだもん。僕だけ留守番で」 ほらね。大体これ 「でも寂しくは無いんだろ」 「うん……でも!」 ぐいりと音が聞こえてくる様だ。手を引かれただけなのに 「みもりんが家に来てくれるもーん!」 ドラマでスローモーションになりそうな瞬間だけど、俺にとってはそれ所……じゃなくて 「………がはっ!!やべえんだよマジで」 「………ぷはっ!大丈夫!割と死なない!」 呼吸を乱して、また空を見上げた。相変わらずの眩しいお日様だ 「夏がもうすぐ終わるよ」 「嬉しいけど、寂しいね」 髙田は笑った。太陽に負けてない 「クソ寒い冬が来るぜ」 どうにかして、笑いながら俺も言った。 プールサイドからはいつの間にかスイッチが入ってたラジカセから熱中症に気をつけてくださいと、注意が流れる。 ああ 夏の一日が今日も始まりやがる 嫌な一日が 一日がな
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