第2話 小百合

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「うん、そうだな。コミュニケーションスキルはどのみち必要だしな。よし、ひとまず、待て。またこの件は連絡する」 俊くんはそう言うと、カチャリとドアの鍵を開けた。 「畏まりました。常務、失礼致します」 私も、それを合図に退室した。 考えたことも無かった。お見合い結婚は恋愛じゃないと思っていた。それこそ、好きでもない人と結婚のだと。 考えてみたら、幸せになれる結婚なら、どちらでもいいのか。 どうして私の結婚に対して俊くんが“待て”と言ったのか知らないけれど、ひとまずも何も、まだ好きな人すらもいないのだから何もすることはない。 秘書の仕事はなんていうか、他の部署と比べて、孤独なのかもしれない。会社でも毎日会う人は限られているし、少し敬遠されている気もする。 「何かあった?」 「いえ、大丈夫です」 「そ、何かあれば報告してね。一人で解決しないで」 「……はい」 私の煮え切らないような返事に、園田さんは椅子をくるりと私の方へ向けた。 「何、言いなさい」 「いえ、仕事ではなく……」 私がそう言うとほっとしたものの、椅子はそのままの園田さんに 「秘書って孤独なんですね」 と、ぼそりと溢した。
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