第1話 小百合

1/12
前へ
/213ページ
次へ

第1話 小百合

 異性に対して、私は寛大だと思う。  だいたいの男性をそういう対象で見ることが出来る。……つまり、許容範囲が広い。  貞操観念も低い。  ……つまり、チャンスがあれば……そうなってもいいと、常に思っている。  かつて付き合った事のある男性は、私の事を可愛いといってくれるのが嬉しくて、になった人たちだ。だけど、どの人も短命で続かない。今は恋人もいない。 私はいつも、受け入れ体制ばっちりなのに、異性には敬遠されてしまう。  目も合わない。合った目はすぐに逸らされる。遠巻きに見ては、たぶん、陰でこそこそ何か噂をされている。  きっと、いい噂じゃない。  薄々気付いていたそのことは年々はっきりと浮き彫りになり、ついに確信に変わる。  私には……異性を遠ざけるような、難があるのだ。  かといって、同性に好かれるかといえばそうでもなく、友人と呼べる人はとても少ない。休日は、いつも家族と、というより、家で過ごしていた。    家族に、私ってどこかおかしい?なんて聞いてみても、誰もどこもおかしくないと言った。家族仲はとても良く、家の居心地はよかった。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1923人が本棚に入れています
本棚に追加