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「じゃあ、就職は俺が決めても構わないな?……悪いようにしない」
兄が穏やかにそう言った。
「結婚は25歳にはしなさい。だから、それまでに自分で探して連れてくるといい。もちろん、冷静に判断させてもらう。見つからなければこちらで相手を選んでも構わないな?」
父がそう言って
「楽しみなさい、今が一番いい時期よ」
祖母が優しくそう言った。
自分の部屋に戻って、ため息を一つ。諦めのため息か、安堵のため息か。それでも、言いたいことは言えてよかったと思う。それでも、やりたいことも、好きな人も答えられなかった自分に情けないとも思った。
25歳までに、私は恋人をつくる。一生、添い遂げたいと思う、そんな恋人を、つくる。
それに、OLだって、素敵な仕事だ。与えられた仕事を精一杯やってみせる。
決心は強かったけれど、この時の私にとって25歳はまだまだ先のことで就職にも結婚にも夢見がちだったのかもしれない。自分が結婚するなんて、とてもじゃないけれどリアルに考えられていなかった。
あれに似てる。
お姫様が王子様に出会う前の、それこそ出会ってからは人生が180度変わってしまうって知らなかった、そんな、ちょっと生意気で怖いもの知らずだった、お姫様に似ている。
そんな状況だった。
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