プロローグ

1/1
1896人が本棚に入れています
本棚に追加
/213ページ

プロローグ

子供の頃に買って貰ったプリンセスの絵本はシリーズになっていて、どの本も必ず、最後にはお姫さまと王子さまは結ばれ、綺麗なドレスを身に纏い見つめ合う二人が    それはそれは、幸せそうに描かれていた。 その中の一つ「眠りの森の美女」を読んだとき、私は思った。 ──眠り姫は幸せになったのだろうか。 時代遅れの服を着て、100歳も年下の王子と出会う。出会うといっても、目覚めたら、目の前に王子がいたのだけのもの。 自分が親の言い付けを守らなかった為に、城中のみんなを巻き込んで、100年も時を止めた。 城の下働きは、城の外の家族と二度と会えなくなっていたのではないか。姫とともに眠らされ、目覚めた時には、それこそ、城の外は100年もの月日が経ち、浦島太郎のようになっている。それでも姫の幸せを祝福したのだろうか。 姫は、目の前の王子が、呪いをといてくれたから、彼と結婚したのか、それともあの一瞬で何も考えられなくなるくらいの……まわりの人のことなんて考えられないくらいの……恋に落ちたのだろうか。 ──眠り姫は幸せになったのだろうか。  あの時、言い付けを守らず、つむに触った事を悔いることなく、幸せになったのだろうか。   本当に?
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!