探偵は引きこもり

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 ポスター、チラシ制作を業者に依頼し、夕方になってから片桐と茜は動き出した。  野村の家を中心に、チッチの捜索を始める。名前を呼びながら、木の上や電線、茂みを探す。人なれしている場合はマンションのベランダに逃げ込んでいる可能性もあった。  片桐は周辺を隈なく探し、聞き込みや張り込みもしてみたがチッチが見つかる様子はなく、警察やセンターに連絡するも該当する情報はなかった。  陽は傾き、気付くと夕暮れになっていた。辺りは暗闇、今日の捜索はこれで打ち切りとなった。 「オカメインコの場合、20キロぐらいは簡単に飛ぶからな。もう県を越えちゃったかも」 「どこ行っちゃったんだろう」 「オカメインコは帰巣本能が強い鳥なんだよな」  片桐は独り言のようにそう言い、携帯を取り出し、番号を押した。数分して電話を切り、茜に振り返る。 「チッチは貰われた子だよな。だから野村さんに聞いてみたんだ。元の飼い主の住所を」 「前の家に戻って来てるかもしれない?」 「ここから百キロは離れた場所だけど、オカメインコの飛行能力を考えればあり得なくはない。伝書バトは千キロを飛ぶしな」 「そうなんだ」 「ポスターが出来上がるまで時間があるし、今のうちに現地に行っておこう。チッチが近辺に来てる可能性もあるし」
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