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翌日、朝の早い時間から片桐と茜はタクシーを待っていた。
「ねえ、そろそろ車の免許取ったら?」と、茜が言った。「タクシーで行くと三時間は掛かるよ?電車とか、新幹線にすればいいのに」
「この時期は混雑してるだろ?時間は掛かるかもしれないけど、タクシーの方がゆっくりできる」
「免許は取っといた方がいいよ。探偵業に支障はないの?」
「尾行するならタクシーの方が良いんだよ。車種を覚えられないし、それこそタクシーは街じゅう走ってるから」
タクシーに乗り込み、元飼い主の家を目指す。インコをどうやって見つけるか。好きだった音を録音して流す、飼われていたゲージと同じ物を幾つか用意し、家の近くに置いていく、それか……
「ねえ、時間が余ったら何処か寄らない?近くに水族館があったよね」
片桐はシートに凭れかかり、だんまりを決め込む。
「動物園もあったよ。ねえ、動物園なんてさ、高校以来行ってないよね?」
片桐は息を吐き、携帯を取り出すと文字を打ち込んだ。
“うるさい。今、考え中。静かに”
「遊園地でもいいよ。お化け屋敷に入ろうよ」
“集中できない。いいから黙れ”
しょんぼりとする茜を横目に、さて、どうチッチを探すかと片桐は思案を始める。
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