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朝の七時、インターフォンで玄関から出てきたのは真央だった。彼女は不審を絵にかいた顔をして、やってきた二人を見つめた。
「なに?何の用?」
「単刀直入に言うけど」と、片桐は言った。「ピーちゃん、君の所に帰ってきてるよね?指に、引っかかれた痕がある」
真央は慌てて手を隠した。
「違うもん。そういうのじゃないもん」
「本当の事を話して欲しんだけどな」
「だから知らないって。帰ってよ」
「真央ちゃん」茜は優し気に言い、目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。「あのね、真央ちゃんがピーちゃんの事を大切に思ってるのは分かる。だけど、隠れて飼うなんて大変だと思う。鳴き声もあるし、餌だって用意しなきゃならない。それにさ、誰にも気づかれない所に閉じ込められるピーちゃんが可哀そう。ねえ、そう思わない?」
真央は俯き、何も言わない。
片桐は言う。
「お母さん、呼んできてもらっていいかな?」
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