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Prologue
必要以上に熱くしたシャワーが身体を打つ。
浴室に立ち込めた白い湯気で曇った鏡が、まるで今の自分の心境を表しているようで不愉快だった龍樹はシャワーヘッドを鏡に向けた。
そうすると鏡に見慣れた自分の顔が写る。
濡れた髪を後ろに搔き上げると、左のこめかみに薄っすら残る傷跡が目に入った。
鏡の曇りは無くなっても、自分の顔は曇ったまま。
ーーー運命って、本当にあるんだね…!
ガンッ!
数時間前に聞いた言葉と向けられた笑顔を思い出して、龍樹はそれを打ち消したくて浴室の壁を殴った。
「…ふざけやがって…」
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