スポーツ観戦でヘンな統計出さないで

3/13
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 有沙(ありさ)と四両編成、前方から三番目の車両で合流した。有沙(ありさ)は、おっとりと言うか、お姉さん然、としたところがある。  服を見れば、女子力高い系の今年の夏、流行の服だ。早速、茶化した。 「男子とデートの予行演習だったりして?」  有沙(ありさ)は、引きつった笑いをしていた。 「朱莉(じゅり)相変わらずだな。ジョークキツいよ」  メッと子どもをしかるように、人差し指を、わたしのおでこに、押し当てる。直前で止めると思ってた。  キョドるわたしは、真面目にぎゅっと表情を引き締める。 「ゴメン」 「わたしも指あたってゴメンね。空いてる席に座ろう」  適当な席に二人並んで腰を下ろす。反対側の車窓から差し込む夕日が、白いアームカバーを、橙色に染め上げてる。 「汗かきだもん、日焼け止め流れるの。最近はアームカバーを使ってる。有沙(ありさ)は白い肌でうらやましいな」 「ふむふむ。私はしっかり日焼け止めして、昼間は長袖を着て、日焼けしないよう、まあまあ苦労してるかな」 「白い肌が透き通って、内臓は骨が見えたりしそう」 「――だから、ジョークキツいって」  屈託なく笑う姿は、わたしの毒が強い冗談を好意的に受け止めてくれた証だ。小学生からの親友で、許されるジョークだもん。  電車を二度乗り換えて、東名(とうめい)ドーム(東名スタジアム)前駅に到着した。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!