スポーツ観戦でヘンな統計出さないで

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 わたしは野球のルールに詳しくない。それでも今日は、東名(とうめい)ドームでプロ野球観戦。  わたしは、地元の東日(とうにち)ユニコーンズのファンと言い切れる。だって、ほかの球団、ほぼ知らないからだ。  夏休みの日差しは、午後でも肌を焦がすようだ。わたしは、最寄り駅のホームに立つ。  汗をかいたので、日焼け止めのアームカバーを交換する。アームカバーには、全て番号で名前をつけてある。  わたしは、高校のクラスメイトで、プロ野球ファンの有沙(ありさ)と野球観戦に行くことになった有沙(ありさ)のお父さんが、東名(とうめい)ドームの、バックネット裏のチケットを2枚余っているのだ。  余っている理由は、有沙(ありさ)のお父さんの仕事が忙しいそう。年間シートとか呼ぶそう。1シーズン中の試合を全て観戦できる指定席!  有沙(ありさ)お父さんが勤めている会社が、福利厚生で社員用に購入していて、チケットをもらえたそう。お父さん仕事の関係で行けず、娘の有沙(ありさ)に2枚くれたんだって。  良いお父さんだ。  数日前、スマホに電話があって、わたしを誘ってくれた。だけど、ほかの子には言わないでね、と何度も念押しされた。  ほかの子に喋ったら、わたしの口が軽いとバレる。有沙(ありさ)の一番のオキニ入りが、わたしと思われる? 小学生からの親友だから? 複数の可能性を天秤にかけるが、完璧な答えは出ない。
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