流星の記憶

12/13
前へ
/14ページ
次へ
 そうして夜半まで屋上に居たらすっかり身体は冷え切って、寒いさむいと言いながら二人、全速力でシュンスケの家まで帰った。  たぶん新記録が出ていただろう。  熱い風呂から出て、客間に並んで敷かれた布団に倒れ込んだあとはもう記憶にない。  しかし翌朝、習慣でいつもの時間に目覚めてしまい、朝練の辛さと厳しさについて愚痴を言い合い、シュンスケの母親が張り切って準備してくれた朝食を片端から平らげ(とにかく穂高は食べるのだ! ドコに入っていくんだと思うくらいに!)結局、腹ごなしにと近所のランニングコースに出掛けて、無駄に真面目に走りきった。タイムを計っておくべきだった、と残念がる穂高の背中を押して、気をつけて帰れと送り出した。 「じゃあ、また明日」  と微笑む彼に、おう、また明日、と返して。  あと何度、明日は来るだろうと思い、それを数えるのは止めようと思い直し、シュンスケは彼の背中が視界から消えるまで見送った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加