牙を向けられる

展示会へ

　それはともかく、仕事の話。
　峰藤商事も出展している展示会が横浜で開催されるとのことで、俺も勉強と取引先への挨拶のために行くことになった。

「他に行く人はいないんですか？」
「横浜だしね…」

　営業事務の面々は、持病があったり子育てしてたりで時短勤務の人が多く、あまり出張や外出を好まなかった。営業の人は取引先の人と同行か、出展ブースの運営メンバーになっている。そのため、今回は１人で行くことになってしまった。
　ならこの機会を利用して、直帰で早退扱いにしようと決めた。ちょうど展示会の会場の近くに、俺が行ってみたいところがあったからだ。

　展示会参加当日。
　午前中は会社で緊急の仕事を済ませ、残った分は他の人へと引き継いだ。昼休みのタイミングで、念のために抑制剤を飲み、荷物をまとめてオフィスを出た。