1・つまらない毎日

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1・つまらない毎日

 家から徒歩15分の高校に進学して、徒歩通学を始めてからあいつとは毎朝通学路ですれ違っていた。  俺は、高梨 流水(たかなし りう)。 都内でも偏差値が高い事で有名な高校に今年から通い始めた。将来は親の跡を継ぐ予定で医者を目指している。成績は良かったし、顔は普通……か?と、思う。他の奴から見たら何にも問題のない恵まれた者に見えるだろう。  だけどそれは俺の表面だけだ。  俺の家族は冷めきっていて温かい家庭の団欒とか知らずに育った。そのせいか人を好きになった事がない。ずっと心に隙間があって埋めたくてもどうしても埋められない。俺は人として欠陥があるようだ。 そんな感情を隠して、過ごしていた。
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