9・ゲームで遊ぼう

1/1
前へ
/80ページ
次へ

9・ゲームで遊ぼう

   『待ってたニャン! よろしくニャー? 』 「は? 」 可愛い、猫族の女の子キャラクターが俺に話しかけてきた。  『誰だ?』 俺のゲームキャラクターは人間族の賢者。猫族の女の子キャラクターに話しかけた。  『 ID教えただろ!? 気づけ!! 』 「あ! 」 そうだった。ライトのIDだ。 『悪い』  ピコリン! 『イトさんとフレンドになりました。』 ゲーム画面に文字が現れる。  『イト といいます! よろしくニャー! 』 ゲーム画面の猫族のキャラクターは可愛く笑う。 『タッカーといいます。こちらこそよろしく!』 ライトのキャラクターに返事をした。 『タッカーさんは……、魔法系ですね。良かった。こちらは戦士、前衛なので。』  「戦士なのか。ステータスは……。凄い! 」 ライトのキャラクターのステータスをみると、かなりゲームをやり込んでいて強かった。 『強いな。これなら勝てそうだ』 画面のライトのキャラクターに話しかけた。  『苦戦中のドラゴンは、力だけじゃ勝てないのでタッカーさんの魔法補助が重要です!』 猫族のキャラクターの猫耳とシッポがフリフリと可愛い。 『分かった。サポートする。準備は大丈夫か?出来たら行こう』 『はい! 大丈夫』  俺達は苦戦中のドラゴンを倒しにいった。  『やったー!! 』 『よし! 倒した! 』 ライトのキャラクターのイトが大剣で切りつけて、後ろから俺が補助魔法と回復魔法をかけて戦いに挑んだ。約三十分もかかって倒した。  『ありがと! タッカーさん! 』 『ありがとう、イト』 一人じゃ、倒せなかった。それに……。 『楽しかった! 』 ライトのキャラクターのイトは、そう言った。正確にはゲーム画面に文字が見えているのだが。 『俺も』 素直に相手に返せた。  『そろそろ、ログアウトしますね! あー、楽しかった! お休みなさい!タッカーさん♪』 『お休み! イトさん』 あまり他のプレイヤーとかかわらず、一人でゲームをプレイしていたので少しくすぐったかった。  『またね♪』 俺はその文字をしばらく見ていた。  *************  「お早うー、リウ! 昨日は楽しかった! ありがとな! 」 朝、元気よく俺に挨拶してきた。 「お早う。……こちらこそ、…… 」 何だか照れくさい。 「高梨(なし)で、“タッカー”か。なるほど」 キャラクターネームの事を言ってきた。 「お前は、ラのうしろを取って “イト” だろう? 」  「正ー解! 」 ハハッ!とライトは笑った。 「あ、笑った」 ライトが言う。 「え?」 笑った?俺、笑ってた? 「あ、そうだ」 ごそごそとライトはカバンの中に手を入れて、何かを探している。  「リウ! 」 ポイッと、こちらに何かを投げてきた。 「何だ? あっ」 手で受け取った物を見るとキーホルダーだった。 「これは! 『ダンジョン・サーチャ』のキーホルダー…… 」 「やるよ」  顔を上げると、少し照れたように笑った。 「また、ゲームやろうぜ。リウ! 」 そう言うとライトは走り出した。 「あ! ありがとう! 」 「遅刻するなよ! リウ! 」 俺はキーホルダーをそっと握りしめた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

180人が本棚に入れています
本棚に追加