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9・ゲームで遊ぼう
『待ってたニャン! よろしくニャー? 』
「は? 」
可愛い、猫族の女の子キャラクターが俺に話しかけてきた。
『誰だ?』
俺のゲームキャラクターは人間族の賢者。猫族の女の子キャラクターに話しかけた。
『 ID教えただろ!? 気づけ!! 』
「あ! 」
そうだった。ライトのIDだ。
『悪い』
ピコリン!
『イトさんとフレンドになりました。』
ゲーム画面に文字が現れる。
『イト といいます! よろしくニャー! 』
ゲーム画面の猫族のキャラクターは可愛く笑う。
『タッカーといいます。こちらこそよろしく!』
ライトのキャラクターに返事をした。
『タッカーさんは……、魔法系ですね。良かった。こちらは戦士、前衛なので。』
「戦士なのか。ステータスは……。凄い! 」
ライトのキャラクターのステータスをみると、かなりゲームをやり込んでいて強かった。
『強いな。これなら勝てそうだ』
画面のライトのキャラクターに話しかけた。
『苦戦中のドラゴンは、力だけじゃ勝てないのでタッカーさんの魔法補助が重要です!』
猫族のキャラクターの猫耳とシッポがフリフリと可愛い。
『分かった。サポートする。準備は大丈夫か?出来たら行こう』
『はい! 大丈夫』
俺達は苦戦中のドラゴンを倒しにいった。
『やったー!! 』
『よし! 倒した! 』
ライトのキャラクターのイトが大剣で切りつけて、後ろから俺が補助魔法と回復魔法をかけて戦いに挑んだ。約三十分もかかって倒した。
『ありがと! タッカーさん! 』
『ありがとう、イト』
一人じゃ、倒せなかった。それに……。
『楽しかった! 』
ライトのキャラクターのイトは、そう言った。正確にはゲーム画面に文字が見えているのだが。
『俺も』
素直に相手に返せた。
『そろそろ、ログアウトしますね! あー、楽しかった! お休みなさい!タッカーさん♪』
『お休み! イトさん』
あまり他のプレイヤーとかかわらず、一人でゲームをプレイしていたので少しくすぐったかった。
『またね♪』
俺はその文字をしばらく見ていた。
*************
「お早うー、リウ! 昨日は楽しかった! ありがとな! 」
朝、元気よく俺に挨拶してきた。
「お早う。……こちらこそ、…… 」
何だか照れくさい。
「高梨(たかなし)で、“タッカー”か。なるほど」
キャラクターネームの事を言ってきた。
「お前は、ライトのうしろを取って “イト” だろう? 」
「正ー解! 」
ハハッ!とライトは笑った。
「あ、笑った」
ライトが言う。
「え?」
笑った?俺、笑ってた?
「あ、そうだ」
ごそごそとライトはカバンの中に手を入れて、何かを探している。
「リウ! 」
ポイッと、こちらに何かを投げてきた。
「何だ? あっ」
手で受け取った物を見るとキーホルダーだった。
「これは! 『ダンジョン・サーチャ』のキーホルダー…… 」
「やるよ」
顔を上げると、少し照れたように笑った。
「また、ゲームやろうぜ。リウ! 」
そう言うとライトは走り出した。
「あ! ありがとう! 」
「遅刻するなよ! リウ! 」
俺はキーホルダーをそっと握りしめた。
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