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17・いつもと変わらないはずの日▲
いつもの授業。変わらないクラスメイト。特に変わった事もなく、一日が過ぎていく。……はずだった。
「高梨さん……。ちょっといい? 」
帰ろと手にカバンを持った時に関根に話しかけられた。
「関根」
ほとんど人が居なくなった教室は少し静かになっていて、先ほどまでのガヤガヤとした喧騒が嘘みたいだ。
「何か用か? 」
関根に話しかけるといつもの微笑みは無く、雰囲気がおかしく感じた。
「……話しがしたい」
そう言って珍しく黙り込んだ。何か悩みでもあるのだろうか?
「来て」
短く、そう言うと関根はクルリと背を向けて歩き出した。
仕方なく後をついていった。
無言で校舎の中を歩いていく関根。
いつもなら、今日の出来事や何かしら話しかけてくるのに黙っている。
「関根、どこまで行く? 」
校舎を抜けて、体育館に行く屋根のある渡り廊下を進んで行く。途中、渡り廊下を右に曲がって使われてない倉庫や物置がある、あまり人の来ない場所に関根は進んだ。
「人に聞かれたくない」
そう言って関根は、倉庫の扉の前にとまった。
ポケットから鍵を出して、カチャカチャと鍵穴に差し込み扉を開けた。
「入って」
顔を見ると、少し顔色が悪い関根が無表情で俺に話しかけてきた。
正直、嫌だったが俺が入るのを黙って待っていたので仕方なく入った。電気は通っているようで、関根がスイッチを入れると明かりがついた。中は思ったより綺麗に整頓されていた。ホワイトボードに、机を挟んでソファ二つ。昔、ミーティングにでも使っていた所なのだろうか?
「あまり時間がないから手短にしてくれ」
そう言って振り返ると関根は扉をしめてこっちにきた。
「……分かった」
いつもの雰囲気と少し違う関根。
「何か悩みでもあるのか……? 関根」
向かい合って立っていた。関根は俺より少し身長が高い。ちょっと見上げる様にして関根に話しかけた。
「高梨さん、……ファミレスで会ったあの人とはどういう関係? 」
いきなりその様に聞いてきた。
「……どういう関係とは? ゆ、友人だが? 」
ライトを “友人” と話すのは初めてで、ちょっと噛んでしまった。
「友人? 他校の奴が友人だって!? 」
「関根? 」
いつもと違う口調の関根に驚いた。ガシッと両肩を掴まれた。
「特定の友人なんかつくらなかったじゃないか! なぜ、あいつを友人なんて呼ぶ……!? 」
掴んだ手に力が入って、少し痛む。
「関根」
腕を伸ばして掴まれた肩の手を外そうとした。
「流水(リウ)…… 」
そう言って関根は俺を力一杯に抱きしめてきた。
「おいっ!? せき……ね? 」
少し屈んだ関根の肩にある、自分の顔をずらしてやめるように話そうとした。
「リウ」
思ったより関根の顔が近かったと思った時。
頭の後ろと腰を手で掴まれて、唇に……いや、これはキスなのか!? キスされている!?
「ふっ……! やめ……! 」
逃れようと必死に動いたが、ガッチリ手で押さえられていた。
片手は腰の辺りで一緒に押さえられていた。空いているもう片手で体を離そうとした。
「あっ!? 」
関根が体を押してきて倒れそうになる。
危ない! そう思ったら、背中に柔らかい感触があり転倒を免れたとホッとした。
俺に覆い被さる関根。柔らかい感触は部屋に入って来たときに見たソファの上と分かった。
「リウ…… 」
その声に思わず目を見てしまった。
「せ、関根? 」
いつもと違う、関根。
「離れて、くれないか? …… 」
ゾクリと身が固まる。本能的に離れないといけないと感じた。
「嫌だ。リウ……好きなんだ」
「え、関根? 冗談…… 「冗談じゃない!!」」
ふざけているのかと思い、関根に言った。
「冗談なんかじゃない! 好きだから、キスもした! 」
「!? 」
好きだから……?
「俺は男だ」
睨みながら関根に言った。
「男が好きな訳じゃない! リウが好きなんだ……! 」
関根は切なそうな声で言った。
「あっ!? やめっ……、う」
また唇を塞がれた。
「リウ…… 」
唇から離し、俺の名を呼んだ。
「あっ……!? 」
首筋にぬるっとした感触があった。関根が俺の首筋を舐めている。
「お、おい! やめろ! つっ…… 」
両手の指をそれぞれ組まれて、バンザイの形に手を狭いソファに押し付けられた。
「好きなんだ…… 」
首筋から鎖骨へ舌が動いていく。
「やめろ! 離せ、関根! 」
体を左右に動かして離れようとした。
「! 」
スッと、足と足の間に関根の足を入れてきた。
関根の硬くなったソレがはっきり分かった。
「え……、」
俺に、……欲情しているのか?
「リウ……。優しくするから」
関根はハァハァと息を荒くして、うっとりと言った。
は? 優しく? 何をだ? と考えているうちに制服のシャツの上のボタンを二つ、外された。
「ちょっ! ……関根! やめろ! うぁ! 」
その時、俺と関根の違う声が聞こえた。
「もう、その辺でやめな。関根」
その声を聞いて、ガバッ!と関根は俺から離れた。
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