8・フレンド

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8・フレンド

   昨日の関根は何だったんだ? ただ一緒に帰りたかっただけ? ……わからない。歩きながら地面を見て機械のように足を動かして、考えていた。  「お早うー! リウ! 」 その脳天気な声でハッと気が付いた。勝手に下の名前で呼んでいる……。 「お前か」 思わず睨む。 「ハハッ!低血圧か? リウ」 歯を見せて楽しそうに笑っている。  「あのな、…「ゲームのID、メモってきた!」」 俺が文句を言おうとしたら、奴が被って話してきた。 「フレ(フレンド・ゲームの中での友達)になって一緒にやろうぜ! 」 「! 」  #ゲームでのキャラクターのIDを自分のキャラクターのフレンドとして登録すると、探さなくても話しかけられるし(ゲームの中で)どこにいるかすぐわかるようになる。  「今、強敵のボスのドラゴンが倒せなくてさー! 」 「あ、俺も…… 」 つい、ポロッと話してしまった。 「あ! リウもか!今日夜、一緒にやろう!」 「う……ん」 奴の『押し』につい、返事をしてしまった。 「決まり! 携帯の連絡先教えろよ? 」  「……いや、ライト?だっけ。連絡先は…… 」 躊躇していたら、いつの間にか手にしていた携帯を取られて勝手に連絡先を入力された。 「柳 来冬(やなぎ らいと)っと!オッケー!」 「おい! ライト…… 」 文句を言おうとした。 「んじゃ! 連絡する!リウ、楽しみにしてる! 」 そう言って、走って行ってしまった。  何だ?……あの、押しが強いのに有無を言わさずさらりと目的達成するワザは……。悔しい事に、 “楽しみにしてる!” って怒れないじゃないか! 将来、……営業マンになったら、恐ろしいな。    でも、実は楽しみにしている自分に少し驚いている。 ***********  夜になり、食事や風呂と予習&復習を終えてベッドに横になり携帯電話を見ていた。 ブルブル…。携帯電話のバイブが震えた。 「あ」  『俺はもうゲームにインし(入っ)ているから、いつでもオッケー!待っている。らいと』 奴からの連絡だった。  俺はベッドから降りてゲームの電源を入れた。 ヘッドホンをつけてゲームにインした。   チャーチャー、チャーチャー、チャチャ!  軽快な音楽と共にゲームが始まった。俺はゲームの中で、自分の分身とも言える作ったキャラクターを選びゲームの中の世界に入っていった。  「あいつのIDは…… 」 カチャカチャとキーボードを打っていく。 『フレンド申請をしますか? はい ←               いいえ 』    「はい……っと」 ボタンを押すと、ピコリン♪と音が鳴った。  『フレンド申請、ありがとうございます! 』 しばらくして急に話しかけられた。 「わ! ?? 」 『待ってたニャン! よろしくニャー? 』  画面を見ると目の前に、猫族の可愛い女の子のキャラクターが俺の操作キャラに話しかけていた。  「は? 」    
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