プロローグ

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
化粧のイメージからきっと韓国が好きだろう、暗い雰囲気があるから休みの日はあまり人と会わずに家で韓流ドラマを見たりツイッターとか見ながら過ごしていそうだ。家でウーパールーパーも飼ってそう、「今日もバイト疲れた」とか帰ってから話しかけて、そのままぼぅっとガタガタと腕を振るウーパールーパーを30分ぐらい眺めて。映画とか本とかも好きそうだし、今度少しだけ話を振ってみようかな。 家に着くと、すぐに履いていたジーパンを脱いで洗濯機へ、着ていたダッフルコートはどうするべきかしばらく悩んでから使っていない風呂の浴槽の中へとりあえず放り込んだ。雨のせいで長いこと開いていなかったスマホの画面、サキから「雨大丈夫?」というラインが来ていたので「多分大丈夫!」と返信した。ポケットに入っていた新品のハイライトは雨でくしゃくしゃになっていた。 それから数日後、僕は数ヶ月働いていた飲食店のバイトを辞めた。シフトに入っていたが出勤せず、心配してか怒ってかかかってくる電話を無視し続けた。新しく赴任していた店長とソリが合わなかったとか、ぶっちゃけまかないが不味かったとか、単純に飽きたとか。電話が鳴るたびゾワっと押し寄せてくる罪悪感の中、色々思い出しながら、やっぱり普通に行けばよかったとかも思っていたが、あのコンビニの出口に貼ってあった「バイト募集」の張り紙はずっと頭の隅にチラついていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!