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八年後
あれから八年という長い月日が経っても、この国の内戦は終焉を迎えることはなかった。十二歳で両親と妹を失い孤児となった僕も、もう二十歳だ。この八年間、よく生き長らえたと思う。
僕はあの日助けてくれたセイフたち反体制派グループと共に生きる道を選んでいた。
反体制派のリーダー的存在であるセイフ。
銀色の髪と青い目の彼は、かつて僕の国を統治していた欧州の国とのハーフだという噂だった。彼の詳しい生い立ちは知らないし、外見上明らかに場違いの彼が何故ここにいるのかも分からない。
あの時僕を炎の中から抱き上げてくれた逞しい腕。炎の中を駆け抜けた凛々しい姿が、いつまでも忘れられない。
こんな闘いがなければ、僕は孤児にならなかったとセイフたちを恨んだことも、国を恨んだこともあった。
だけど僕は……命を救ってくれたセイフのことを憎み切れなかった。
だから共に生きる道を選んだ!
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