柚子の初恋

3/5
前へ
/14ページ
次へ
次の日から、外遊びが始まった。 初日の今日は、ドッジボール。 定番中の定番だけど、私はこれが一番嫌い。 そもそも、人に物を投げつける意味が分からない。 消しゴムを投げたら怒られるのに、ボールをぶつける目的で投げても怒られない理由が分からない。 二時間目が終わり、私は分かりやすくブルーな空気をまとって赤白帽子を手に取る。 「柚子、行こ?」 私とは対照的に、キラキラ太陽のような笑顔で翔くんが誘ってくる。 っていうか、いつの間に呼び捨てに変わったの? 戸惑う私をよそに、翔くんは手を取って連れ出そうとする。 私は1分でも遅く行きたいのに。 「翔くん、先に行って。 私、あとで行くから。」 私がそう言うと、 「柚子、ドッジ苦手だろ? 一緒にいないと守ってやれないから、一緒に 来いよ。」 え? えっと… それは、どういう…? 私の頭の中は、クエスチョンマークがいっぱい踊っている。 ああ! 同じチームだからか。 チーム分けは、教室の席の右半分対左半分。 だから、私と翔くんは、同じチーム。 勝つためには、弱い子を守らなくちゃいけないんだ。 私は翔くんに引きずられるように運動場に連れ出された。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

357人が本棚に入れています
本棚に追加