柚子との再会

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「でも、柚子が幸せそうで良かった。 今日、旦那は? どんな人?」 「え、あの、それが…」 話すのが苦手な柚子が言葉を探してるのはすぐに分かった。 あの頃と全然変わってない。 「え、もしかして、訳あり?」 「え、その、訳ありとかじゃなくて、 旦那さんはいないから。」 え、まじか!? 「あ、ごめん。 まさか、シングルマザーだとは思わなくて。 じゃあ、柚子、また会えない? 俺、こんなかわいい柚子の子なら、子連れ デートでも全然構わないよ。」 柚子そっくりな柚子の子だし。 「いや、そうじゃなくて…」 「ゆずたん、あんぱんま、かって。」 女の子が、柚子の手を引いた。 か、かわいい! 「よし! お兄さんが買ってやる。 どれが欲しいんだ?」 俺はしゃがんで女の子の目線で尋ねる。 「まなたんね、あんぱんま、ほちいの。」 女の子は、綿菓子屋にぶら下がった人気キャラクターの袋を指差した。 「まな!! ごめん、大丈夫だから。 ありがとう。 翔くんは、今日、ひとりなの?」 柚子は、周りを見渡しながら聞いた。 「ああ。 さっきまで、タケといたんだけど、彼女に 呼び出されて帰っちゃってさ。 柚子、一緒に回ろうぜ。」 これを逃したら、もう柚子には会えないかもしれない。 俺、普段は東京だし。 「あの… でも… 真菜がいるから… 」 子供の前じゃ口説くのも口説かれるのも困るか… 「大丈夫。 友達としてでいいから。 な? いいだろ?」 「う、うん。」 相変わらず、柚子は推しに弱いなぁ。 「やった! まなちゃんだったよね。 ピンクと水色、どっちがいい?」 俺は綿菓子屋の屋台にぶら下がった袋を指差して尋ねる。 「ピンク!」 俺は、屋台のおじさんに金を払って、ピンクの袋をまなちゃんに渡す。
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