理想と現実

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理想と現実

部屋を整理していたら、学生時代の教科書の隙間から『らくがきちょう』が出てきた。 あの100均とかで売ってるアレである。 中身は自分の黒歴史の数々である。 らくがきちょう以外にも黒歴史ノートが数点でできた。 高校時代、本気でマンガ家を目指していた時のものだ。 作品なんて言えない、らくがきの数々である。 懐かしい、そして恥ずかしい。 当時のことを思い出して、悔しい気持ちもある。 いつだって理想の自分はカッコウイイのに。 渾身の1枚が出来て皆に見てもらおうと思ったら、もっと上手いものを描く奴の作品を先に見てしまった。 その1枚を見たら、一気に自分の渾身のものが恥ずかしいものに思えて家に持ち帰り、ひとり机で泣いてしまった。 それから、自分より絵が上手いやつなんてたくさんいるんだと思い絶望し、マンガ家の夢は諦めてしまった。 今 思うと、ちょっと簡単に絶望しすぎだと思う。 30代になった自分が思うに、自分より上手いやつがいても諦めず腕を磨いたものがマンガ家になれるのだと思う。 マンガ家の場合は絵が上手くもストーリーなど面白くないとデビューすら出来ないだと聞く。 ただ、自分より上手い絵を見ただけでショックを受け諦めた自分にマンガ家を目指す苦悩は分からないだろう。
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