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——士英館高校への合格通知が届いたのは数週間前のことだった。
あの日。私たちは、無事に第1志望の高校に合格できました‼︎ という報告と、見守って下さってありがとうございました‼︎ というお礼を伝える為に、揃ってこの神社を訪れていた。
受験勉強は、初めから終わりが決まっている。
受験の日が終わってしまえば、機械的に受験勉強からは解放される。それは、結果が合格でも不合格でも関係ない。
絶対にあの高校の入学試験に合格したいっ。
その想いだけで、毎日毎日ただひたすらに勉強を頑張った。必ずやってくる終わりの時を、私は笑って迎えたかったから。
それはそれは長く苦しい道のり。
だけど、合格通知を受け取ったあの日は、そんな苦しみが一瞬で吹き飛んでしまう程に、とても清々しい気分だった。
私は今でもあの日感じた喜びを引きずっているくらいだ。
「よしっ。無事に合格したことだし。今日からは、違うことをお願いするよ」
美羽ちゃんはそう言って、いつもより力強く手を合わせた。
「違うこと? 」
「うん。隼人さんが担任になりますようにっ。これ、重要じゃない? 」
「確かに重要だね。せっかく隼人さんが先生をしている高校に入学できることになったんだもん。どうせなら担任になってもらいたいっ」
「そうでしょ? 隼人さんが担任なら、何かと理由をつけて話しかけられるし。それに、ライバルが出現した時も瞬時に動けるしっ」
隼人さんは誰にも渡さないんだからっ。
そう言って拳を握りしめた美羽ちゃんの瞳はかなり本気だ。
恋をすると、キュンキュンするだけじゃなくて、こうして闘志を燃やすこともあるんだ。
近くに恋をしている友達がいると凄く勉強になる。
私なんて、まだ恋すら知らない恋愛未経験者だからな……。私は、美羽ちゃんを見つめながらそんなことを考えていた。
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