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陸side
お互いに肩を組んだ先輩たちが、スキップでも始めそうな雰囲気で歩いて行く。
その姿を桃と一緒に見送りながら、隣でくすくすと笑っている横顔に声を掛けた。
「本当に引き受けて良かったのか? 」
「え? 」
「剣道部のマネージャーのことだ」
「うん。陸がいるからいいかなって思ったんだよね」
そう言って微笑んだ桃に思わず鼓動が1つ跳ねた。
「それに、美羽ちゃんも一樹くんも剣道部だし。クラスだけじゃなくて、部活も同じだったら嬉しいなぁって思って」
「あぁ。そうだな」
これで。部活の時もいつものメンバーで一緒にいられるのか。
突然のことに正直驚いたけれど、先輩たちには感謝しなくちゃいけないな。
「でも、大丈夫かな……」
「何がだ? 」
「引き受けちゃったのに今更って感じだけど……私に出来るかな」
どう思う? そう言って俺を見上げている桃の髪を、少しだけ乱暴にかき混ぜる。
「大丈夫だ、お前なら出来るさ。それに、困った時は俺を頼れば良い」
「うん。ありがとう、陸」
ぐしゃぐしゃになった髪なんて少しも気にしていない様子で桃が笑っている。
その笑顔に、胸の奥が騒ついた様な気がしたけれど、俺は気づかないふりをして笑って見せた。
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