恋する士英館高校

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奏士side 放課後の体育館。 竹刀がぶつかり合う音が、あちらこちらで響いている。 そう、今は部活の時間。僕は何をしているのかって? それは、ご想像にお任せするよ。 「ほら、まただ……」 どうにもこうにも、面白くない。 せっかく、桃ちゃんが剣道部のマネージャーになってくれたというのに……。 僕のことは放ったらかしで、1年の岡田とばかり話している。それも、すっごく仲よさそうにっ。 話していない時も、アイコンタクトっていうのかな。言葉なんていらないって感じ。僕の言いたいこと分かるかな。 「あーぁ、面白くない……」 「沖田先輩は打ち込みの練習やらないんですか? 」 ふわふわの長い髪をツインテールに結んだ美羽ちゃんが、僕の前にしゃがみ込んで小首を傾げている。 美羽ちゃんも可愛いけど違うんだ。僕は誰でもない桃ちゃんに遊んでもらいたい。 「やらないよ。つまんないもん」 「つまんないもん、じゃねぇよ。奏士、さっさと1年の相手しろ」 水も(したた)るいい男〜って雰囲気の土方先生が、美羽ちゃんの後ろで仁王立ちしている。大人の色気満載ですね、先生。 ま、滴ってるのは汗だけどね。 「1年の相手か……」 ふと視線を向けた先———土方先生越しに、桃ちゃんと岡田が話している姿が目に入った。 あの2人はいつまで話してるわけ? 今は部活中だってこと忘れないでよね。 「それは面白そう。やるよ」 その場に立ち上がった僕は、竹刀を握る手に力を込めた。 岡田君。部活中に女子と話し込んでるくらいだもん、少しは楽しませてくれるんだよね?
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