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というわけで、合格通知が届いたあの日から、美羽ちゃんは毎日毎日この神社に通ってお願いをしてきた。
だから、縁結びの神様はきっと美羽ちゃんの願い事を叶えてくれる。私はそう信じているんだ。
「そういえば、桃っていつも何をお願いしてるの? 」
「私? 私はいつも、美羽ちゃんのお願い事を叶えてくださいってお願いしてるよ? 」
「え? 」
絵馬にお願い事を書いていた美羽ちゃんが、ペンをテーブルの上に置いて真っ直ぐ私に向き合った。
「桃……大好き。ずっと親友だよ」
その長い腕で私をぎゅっと抱きしめていた美羽ちゃんが「思いついた」と叫んだ次の瞬間、思い立ったようにペンを走らせる。
『桃に素敵な恋がおとずれますように』
「でーきた」
「え? 私に、恋? 」
「そう♡ なんてったって、この神社には縁結びの神様がいらっしゃるんだもの。お願いするなら恋愛のことでしょ」
美羽ちゃんが絵馬を掛けているのを見つめながら、素敵な恋ってどんな感じなのかな……って想像してみる。
だけど、私にはよく分からなかった。
ふんわりと吹いた甘い香りの風を、胸いっぱいに吸い込んで目を瞑る。なんだか、心が温かくなった。
もしかしたら、素敵な恋ってこんな感じなのかもしれないな……。
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