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奏士side
「あれ? 桃ちゃんは? 」
もうすぐ部活が始まる。
美羽ちゃんは忙しそうに準備をしているけど、僕は構わず声をかけた。
「あ、沖田先輩。桃、転んで足首を捻っちゃったんです。それで部活はしばらく休むって言ってました」
「え、足を捻ったって……大丈夫なの? 」
「それが、結構痛そうなんですよね。
桃は大丈夫だって言い張ってるんですけど……ほら、あの子はすぐ強がるから。
本当は一緒に帰ってあげたいけど私は部活があるし」
桃ちゃんは心の優しい子だから周りのみんなに心配をかけるくらいなら、我慢しよう。そう思ってしまうタイプだ。
「ねぇ。桃ちゃんってもう帰っちゃった? 」
「どうかな。今日は日直だから、もしかしたら、まだ教室にいるかもしれないです」
「そっか。ありがとう、美羽ちゃん。後、もうひとつ。土方先生に僕も部活休むって伝えといて」
「え? 部活休むってどういうことですか? ちょっと、沖田先輩っ? 」
「美羽ちゃん、お願いねーっ」
道場を駆け抜ける時、すれ違いざまに高杉先輩が何か言ってた気がするけど、とりあえず聞こえなかったフリ。お説教なら今度たっぷり聞きますね。
今は1秒でも早く、桃ちゃんのところに行きたいので、ごめんなさいっ。
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