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美羽side
私の名前は七瀬 美羽。高校1年。大好きな人を追いかけて士英館高校に入学してから早3ヶ月。
親友の桃には彼氏が出来たっていうのに、私の恋はちっとも進展する気配がない。
毎日毎日、縁結びの神様にお願いしてるのに……どうしてっ?
「桃ちゃん。じゃあ、また後でね」
「はいっ」
教室の入り口で名残惜しそうに手を振りあってる桃と沖田先輩。
ちょっとそこの2人‼︎ 毎日毎日、公衆の面前でイチャイチャするのやめてくれません?
もう、なにあれ……。2人から溢れ出てる幸せオーラが半端ないんですけどっ‼︎
沖田先輩は休み時間のたびに桃に会いに来る。2年生の教室がある2階から、1年生の教室がある3階まで遠路遥々……。
そのおかげで、私は桃とゆっくり話す時間がなくなってしまった。
幸せそうに笑ってる桃を見ていると、私まで幸せになる。
それなのに、少しだけ寂しいと思ってしまう私は、もしかしたら親友失格なのかもしれないな。
女たらしで有名だった沖田先輩を、桃が一途な男に変えたんだもん。すっごく喜ばしいことだよ‼︎
付き合ったからには、桃のことを大切にしてもらわなきゃ困るし‼︎
いつまでも、あの時、岡田と桃が付き合ってくれたら、ずっと変わらず4人で一緒にいられたのに……なんて考えてるのはおかしいよね。
一方の岡田は剣道部の掟をきっちりと守っている。
あんなに人見知りで無愛想で何を考えているのかさっぱり分からないヤツだったのに……ファンの子達には随分と優しく接してる。
なんだか別人みたいで、側から見ていると背中がぞわぞわしてくる。
先輩達に褒められるのが嬉しいみたいで、稽古もめちゃくちゃ頑張ってる。
岡田が頑張っている姿を見て、桃が瞳をキラキラ輝かせると、それを見ていた沖田先輩が稽古に気合いを入れる。
2人が切磋琢磨していると、周りの部員達もそれに負けじと稽古に励む。
我が剣道部は実に活気にあふれているな。と、土方先生はご満悦だ。
「いいな……」
私は机に突っ伏して不貞腐れる。ちなみに、もう授業は始まってるみたいだけど気にしない。だって、土方先生の授業じゃないしっ。
あーぁ。私だってハッピーな恋をしたいっ‼︎
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