恋する士英館高校

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陸side その人は俺の目の前に現れると「もう1週間だよ。そろそろ許してあげてもいいんじゃない? 」と言った。 いいわけないだろう。心の中ではそう思いながらも、俺は満面の笑みで笑って見せた。 「何のことですか? 俺、今、この子達と話してるんで後にしてもらえると嬉しいんですけど」 俺のファンはどういうわけか嫉妬深い。俺が女子と話すことを快く思わない子も沢山いる。 だから、なるべくなら彼女達とだけ話してあげたい。 これは、エースの役割だからじゃない。彼女達が日々俺に届けてくれる愛に、きちんと感謝の気持ちを表したいからだ。 「岡田君がファンの子達をとっても大切にしているのは知ってる。だけど、あの子だって大切な存在なんじゃないの? 」 この人は本当にデリカシーがない。いや、それともわざとかな。 俺を見てニヤっと笑ったってことは、そう言うことか。だったら、受けて立ってあげますよ。 「桃のことですか? そうですね。桃は大切な友達です」 「友達? よく言うよ。自分の気持ち隠して、平気な顔して苦しくないの? 」 「桃は友達ですよ。俺は先輩とは違うんです。桃とどうこうなりたいなんて思っていないんで。 あの人の特別になろうとしたけど、結局なれなくて、ズタズタに傷ついて距離を置くことしか出来なかった。 それでもまだ諦められなくて、もがいてる。前みたいな関係になれなくてもいい。少しでも姿が見たい。自分のことを見て欲しい。それだけでいい。 そんな風に考えてる先輩と俺は違うんです。分かったようなこと言わないでください。 先輩って気が強そうなのに、恋すると健気なんですね? それとも乗り越えなきゃいけない問題がある方が燃えるタチですか? 先輩とあの人は禁断の愛……ってやつですよね?」 俺の周りで、禁断の愛ってどういうこと? と言ってファンの子達が騒ぎ始める。 先輩、良かったですね。ここは俺たちの溜まり場だから、他の生徒はいません。 もし、誰かに聞かれたら、先輩とあの人は大変なことになっちゃいますもんね。
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