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しかし次の瞬間にノアが言ったのは、絶対零度を思わせる言葉だった。
「つまり博士は、『自分は全く仕事をしていない。だけど殴られるのも嫌だから、とりあえず門外不出と言う事にしておこう。』と考えたわけですね?そして、『悪いのは自分だった、謝るからどうぞ好きなだけ殴ってくれ。』と言いたいのですね。」
ノアは片手で壁を砕くことができることを知っているVは、その言葉にさらに青ざめた。
「わっ、分かったよ、分かった!本来見せてはいけない代物だが、仕方ない。ノアのために一肌脱ごう。」
ゴソゴソと机の上を漁りだすV。
「あった、あった!ほら、これだよ!」
色々とスイッチのついた複雑なものを、Vは取り出す。
「これはー……名付けて『見つけちゃえ~る君』という機械だ!」
「……一体どういう機械なんですか?」
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた。」
Vが胸を張る。
「実はだね、探したい人の個人情報を書いた紙をここの穴に入れると、その人間が一定の距離に入った時、ここのランプがつくという機械なのだよ。すなわち、行方不明者を探せるすごい発明なのだ!盗まれると困るから、門外不出にしておいたんだよ。」
ノアはジックリVを見る。
長い付き合いで、嘘を言っているかどうかくらいは見抜けるようになってきた(というかVは嘘をつくのが下手すぎて初対面でもわかる)。
行方不明者を発見できる装置なんて、Vが作れるわけがない。
だが、Vには、嘘をついている時特有の表情はうかんでいない。
目もそらしていないし冷や汗もかいていないし下手な口笛も吹いていない。
本当なんだと判断したノアは、黙って部屋を出ると扉を閉める。
そして研究所の外まで足を運び、広い空に向かって
「嵐がくるぞーーーー!!」
と大声で叫んだ。
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