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Vの研究はやっぱり……
戻ってきたノアに、Vは得意げに言った。
「この装置さえあれば、行方不明者がどんどん見つかっていくという仕組み。世紀の大発明だ!ひょっとすると、ノーベル賞も夢ではないかもしれないな。」
「そうですね。いつも遊んでばかりでマシな研究をしなかった博士が初めて作った本物の発明品です。私としてはびっくり賞を百枚くらい差し上げたいですね。」
感心と尊敬のこもった声でノアが言ったが、聞いていたVは微妙に引っ掛かる言葉をいくつか耳にして首をひねる。
気を取り直し、Vは装置を高くかかげた。
「というわけで、この装置は盗まれる可能性が大!金庫にしまって、いつの日かノーベル賞をこの手につかみ取るまで、完全に門外不出を宣言しよう!」
高らかに笑うV。
拍手を送るノア。
「確かにすごい発明ですね。ネーミングの残念さはともかく、性能は素晴らしいです。遂にマシな研究に取り組んでくれたんですね……!」
ノアは両手を合わせて感動している。
「あちらこちらから売買の話が飛び出すと思います。泥棒にも格好の餌食ですよね。山のトラップを一般人で突破できる人間はほぼ間違いなく絶対にいないと思いますが、念のため強化しておいてはいかがでしょう?」
「そうだな、君のいう事もいりちある。」
「いりち?ひょっとして、一理あるといいたいのですか?」
「だから、いちりと言ったろ。」
「いえ、いりちと言ってました。」
気まずい沈黙。
咳払いをして場の空気を変えるノア。
「ところで、一定の範囲に入るとランプが光るそうですが、一定範囲内とは大体どのくらいですか?」
「ふむ、それは人によるが……。」
少し考えこむV。
しばらくして、ニッコリ笑う。
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