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なにが悪いのか?
なにが母を殺したのか?
病気か?
病気を治してくれなかった医者か?
医者は暖かくして養生すれば治る病だと言っていた。
ならば、薪を売ってくれなかった薪割屋か?
薪を買えなかった私か?
私は母のために生きた。私は母のために生きている。
そもそも暖かければ。春さえやってくれば、母は死ななかった。
寒さのせいだ。
冬。
冬のせいだ。
冬の王のせいだ。
「死んだ母親を燃やせるだけの薪は残しておけよ。今は土に埋めても骨になんねーからな。病の原因になっちまう」
その言葉を思い出して、私は家に火を放つ。
ここは私の帰る場所ではない。母の棺だ。
熱が頬を打つ。白雪に炎の赤が落ちる。
庭の枯れた桜が、乾いた空に枝を刺している。
さぁ、行こう。
冬を殺しに。
流れた涙は炎に焚べよう。未だ盛る赤の中で、私は歩みを北に向けた。
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