2/20
201人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
 私が電話でびっくりさせたように、コトからのその報告も、私には衝撃すぎた。  『ちぃくんと、別れた』  「は? ちょ、何言ってんのコト。冗談やめてよ」  『冗談でこんなこと言うわけないって、真理亜が一番知ってるでしょ』  ……確かに。それは私が一番よく知っている。  でもでもだって、琴莉だよ? 相手はあのちぃくんだよ?  ことちゃん大好きって、全身全霊大事にしてますってオーラがでまくってるあのちぃくんがお相手で。  琴莉の方も、ちぃくん一筋って感じで、ずっと高校3年間付き合っていた。  社会人にコトはなったけど、でもちぃくんへの愛は健在で、初めての給料で誕生日プレゼント買うんだって張り込んでいたのを私は知ってる。  一緒に買いに行って、名前を入れてもらって、自分がもらったかのような顔をして幸せそうにしていた。  それなのに、何がどうなったら別れるの?  「どうして別れることになったの」  『それは……ごめん、電話では言いにくい』  「そうだよ、ね。明日は? 仕事の後、家来る?」  『うん、行く』  行くの言葉にホッとして、遅くなってもいいからおいでよって強く念押しした。  コトのことだから、仕事で遅くなったりしたら悪いから行かないとか言い出しかねない。  でも私は経験者だからわかる。  もう言いたくてたまらなくなったから。  自分一人で抱え込むのが辛すぎて、電話をかけてきたんだってこと。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!