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だけど、ことちゃん―――池波琴莉と出会って、俺の人生は変わった。
人生バラ色という表現があるけれど、まさにそれだとさえ思ったくらいだ。
つまらなく、怠惰な人生はいっぺんに塗り替えられて、俺の中身は全て池波琴莉一色になった。
空いた時間はことちゃんのことを考えて。
忙しい時は、ことちゃんに会える日に思いを馳せる。
辛い時はことちゃんの笑顔を思い出し。
悲しいときはことちゃんに癒される。
ことちゃんといるときは全部の神経が、ことちゃんが好きだって湧きたって止まらない。
抱きしめたいし、抱きしめられたい。
寝ても覚めてもアナタのことを考えて……というけれど、その言葉もドンピシャだろう。
正直、ことちゃんを原動力に生きていた。
だから……その原動力を失うことなんて、考えもしなかった。
「はぁーあ」
ため息を吐く自分すらもくだらない。
ぐぅうう
こんなに何も考えたくないのに、腹が減るだなんて人間は残酷だ。
それでも起き上がる気力もわかないし、何か買いに出かけようとも思えなかった。
まだ死なないだろうと思って、水ばかり飲んでいる。
冷蔵庫の奥に、コーラが眠っていたからそれも飲みきった。
水と糖分を摂取したし、どうせまだ生きるんだろうな俺、くらいにしか思えない。
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