一週間の間

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店員の人は注文が終わると厨房に戻り、俺は庭の景色に目を焼き付け眺めていた。前の席に座っている父さんと母さんは二人で何か話をしているみたいだがそんなの気にしずにずっと庭を俺は見続けた。しばらくすると別の店員がざるそばの天ぷらを持って来た。 「お待たせしました。ざるそばの天ぷら付きです」 「私よ」 店員は母さんの所にざるそばと天ぷらが乗ったお盆を置き頭を少し下げてから厨房に戻った。うなぎはまだ時間が掛かりそうだな。 それから少し数分してからうな重二つが来て俺と父さんもようやく食えると思った。正直、腹が減りすぎていたが庭を見ていたときは空腹感は無かったから俺はそれほど集中して見ていたのかとも思った。 「よし、じゃあうな重食うか。いただきます」 「上手そう。いただきます」 箸を持ってうなぎとご飯を一緒に食べるとうなぎはふわふわで香ばしくて柔らかく、ご飯もホクホクでとても美味しかった。今度、幸達に教えてやりたい。 「赤、上手いか?」 「うん、凄く美味しいよ。母さん、一口食べてみてよ」 箸を鰻とご飯一緒に持って母さんの口に近付けると母さんは口を開けて食べてくれた。そして一言「美味しいわ」っと言っていた。 「………母さん、俺の鰻も美味しいよ!」 父さんは俺が先に母さんに鰻を食べさせた事に少し嫉妬しているのか父さんも自分のを母さんにあげようとするが、母さんが「あなたのと赤の、同じのでしょ」と言って父さんは落ち込んでしまった。 「……はぁぁ~。あっ」 母さんは口を開けて何かを待っていた。 「うぇ? 何?」 「くれないの?」 その言葉に父さんは理解したみたいで凄く満笑な笑顔で母さんに鰻を食べさせた。 「どう、美味しい?」 「えぇ、美味しいわ」 「そっかぁ~、よかった」 父さんは嬉しそうな顔をして「もう一口いる?」と母さんに聞くが母さんは「いらない」と言った。それでも一口食べてくれたのが嬉しかったのかまだ笑っていると言うか、父さんの周りに花が見えてきた。俺はそんな和む光景を見ながら鰻を食べると母さんがかまぼこの天ぷらをくれた。 「あげる。一口くれたお礼」 「母さん、ありがとう」 俺がお礼を言うと母さんは「どういたしまして」と言って小さく笑ってざるそばを啜って食べた。 「母さん、俺にも」
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