一週間の間

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俺は父さんがくれたうな重とお店の店長さんがくれたうな重、それと母さんがくれた海老の天ぷらを食べてすっかり時間がかかってしまったが二人は文句も何も言わずに待っててくれた。 「ごめん、早く食うから」 「良いわよ、ゆっくり食べなさい」 母さんは優しい顔と声で俺は何故かとても安心しホッとした。そして、父さんは俺の頭を撫でながら「そうだぞ、味わって食えよ」と言ってくれた。でも、やっぱり待たすのは申し訳ないから少し早めに食べた。 ようやく食い終わり父さんは俺が食べ終わったのを確認して伝票を持ってレジに行った。 「金は払っとくから赤はゆっくりしとけ。食ったばっかりだし腹がキツいだろ」 父さんにそう言われ俺は言葉に甘えてお茶をすすりながら庭の景色を眺めてた。すると母さんは俺に話しかけてきた。 「赤、あんた何か隠してるでしょ」 俺は母さんのその言葉に冷や汗をかいた。母さんには隠し事は無理だなと思った。でも、まだ言えない。 「………うん。でも……まだ言えない」 俺がそう言うと母さんは「……そう」とだけ言った。父さんは会計が終わり俺達の所に戻ってきた。 俺はしばらく庭の景色を眺めていた。すると父さんは「そろそろ行くか」と言って立ち上がった。俺と母さんも立ち上がって店を出る前に俺はうな重をおまけしてくれた店長さんにお礼を言った。 「店長さん、うな重ありがとうございました」 「良いよ良いよ。兄ちゃんが喜んでくれてお礼はそれで十分だよ。また来てくれよ」 店長さんのその言葉に俺は胸がズキッとした。もうこのお店に来ることも、このお店のうな重を食うことも出来ない。俺は少し間を開けて返事をした。 「……はい」 ちゃんと笑えたかな。ちゃんと返事が出来たかな。俺は最後にこのお店に来れて心から良かったと思った。
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