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夏休みの予定
明日はようやく夏休みだ。昼休みの時間、俺は幸と一緒に屋上でお昼を食べていた。特に話すことはなくただ一緒にお弁当を食べているだけだって言っても俺は購買で買ったパンだけだけど。俺は夏休みの日は何をしようか空を見ながら考えていた。描きたい絵だけではなく、勿論行きたい所もある。美術館に植物園、動物園なんかも良いなと思ってたら隣にいた幸が俺に話しかけてきた。
「おい、ニヤニヤするな気持ち悪いぞ。一体何を考えている?」
「ほら明日は夏休みだろ。だから何処に行こうか考えていたんだ」
「お前の事だ。どうせ美術館か植物園かもしくは動物園だろ」
幸は俺が何を考えているのか当てて自分で作った弁当を食べていた。幸の両親は共働きみたいで一人で家に居ることが多いのか料理も凄く旨いし家事なんかも完璧に出来るらしい。前に俺と彩の二人で幸の家に遊びに行って幸はとても迷惑そうにしてたが本当に幸が作った飯は旨かったし俺達が二年の頃は文化祭で喫茶店をやってて幸がメイド服やウェイターの服を作った時は本当に驚いた。俺と彩も手伝おうとしたが、『邪魔だ』だと言われてキッチンに追い出されたり文化祭の服作りも手伝おうもしたが俺は結局針に糸も通せなかったのを不意に思い出して笑ってしまった。そしたら幸は何かを思い出したのか胸ポケットから何かを出して俺に渡してきた。
「此れをお前にやる」
「此れは?」
「遊園地のチケットだ。勘違いするな、偶々三枚あったから一枚お前にやるだけだ」
恐らく、スーパーの近くにあった福引のガラガラで当てたんだろうと俺は考えた。俺もやったけどポケットティッシュしか当たらなかったな~っと自然に思い出す。俺は幸がくれたチケットを制服の胸ポケットに入れた。
「ありがとう、じゃあ今度行くよ」
「何を言っている。三人で行くんだぞ」
「えっ?」
キョトンと間抜けな顔をしているのは自分でもわかった。ただ分からなかったのが幸が三人で行くと言う言葉に俺はとても驚いた。いつもは俺か彩、もしくは二人で誘っていたが、幸がこんなことを言うなんて。
「幸。お前、夏風邪か?」
「至って健康だ」
俺は幸の額に自分の手を当てようとしたが、弾かれてしまった。そして不機嫌そうにしていたが何処か照れたようにも見えた。それもそうだ、幸自身から誘うなんて本当に珍しいが三人で行くと言う言葉に俺は疑問を持った。
「幸、三人って言ったか?」
「あぁ、俺とお前と、そして彩だ」
成る程、彩か。確かに彩だったら喜びそうだな。三人か、思い出作りには良いな。
「いつ行くんだ?」
「まだ決めてない」
二人でそう話していたらいきなり屋上のドアが開いて俺達はビクッてなった。ドアの方に目を移すとそこに彩がいて息切れをしていた。この展開昨日もあったなっと不意に思い出してしまう。そして彩が俺達に近づいてきて手に持っていた物を突然俺達の前に見せてきた。
「赤! 幸! 明日の夏休みに海行こう!」
「う、うみ?」
「そう海!」
俺達に海の絵が載っているチラシみたいなのを見せてきて彩はとても嬉しそうにしていた。あまりの出来事に俺は苦笑いしか出来なかったが、幸は此をチャンスにし、彩に遊園地のチケットを渡してちょっと上から目線だけど幸なりに頑張って誘った。
「彩、俺も実は偶々遊園地のチケットがある。それで、まぁお前がどうしても行きたいなら行ってやらんことはないぞ」
「えっ! ちょっと上から目線だけど幸が誘うなんて、熱でもあるの?」
やっぱり俺と同じように疑うが幸は違うと言う。
「なんでお前らは風邪だの熱だの疑う。そんなに俺から誘うのが珍しいか」
幸は何処か悔しそうにしていたが、俺達は笑いながら「うん」「あぁ」と答えた。いや、喜んでいたと言った方が正しい。俺は幸から誘ってくれて本当に嬉しかった。
「じゃあ、明日から海に行ってその次は遊園地に行こ!」
「俺は良いけど、幸は?」
「俺も構わない。遊園地は俺から誘ったんだ、文句はない」
「じゃあ決まりだな」
俺達が海や遊園地の話を終えると丁度学校のチャイムが鳴り昼休みは終わってしまった。
「あっお昼終わっちゃったね。海に行く日と遊園地に行く日は帰りながら決めようよ」
「そうだね。じゃあ教室に戻ろうか。彩とは教室別だけど、海に何を持っていくか幸と相談するよ」
「そうだな、ちょうど食べ終わった所だし。海に行くならそれなりに決めとかないとな」
そして俺達は廊下の所で別れて自分達の教室に戻った。そこで俺達は早速明日の海に行くことについて話をしていた。
「幸は何を持っていくんだ?」
「そうだな、やっぱり水着と着替え。それと弁当でも作るか。後は日焼け止めや他に必要な物は」
「はは、まるでお母さんみたいだな」
「うるさい、お前は何を持っていくんだ?」
幸にそう聞かれて俺は少し考えた。幸が言っていたのと同じ、海に行くなら水着と着替えは必要だ。それ以外に何を持ってこようか俺は考えた。
「カメラとスケッチブックを、持っていこうかな」
俺がカメラを持って行くという言葉に幸は疑問をもったのか俺に聞いてくる。
「なんでカメラなんだ? スケッチブックは予想付くが」
「思い出にさ。確か父さんのがあったからそれを借りて持ってくる」
幸は何処か寂しそうにしていた。俺がカメラを持って来ることに何かを感ずいたのか突然止まった。
「赤、お前は俺達に何か隠してないか? もし何かあるなら話してくれ。お前は何かを隠していると俺達と距離をとることがある。だから俺はお前が何かを抱えているんじゃないかと思う。もしそうなら言ってくれ」
俺は本当に驚いた。幸がこんなに積極的に言ってくれるなんて、でも言えない。幸や彩には悪いが此は誰にも言えない。言ったら悲しくなる。だから俺は
「何も隠してないよ。幸は一体何を言っているんだ、まさか本当に熱か?」
「だから違うと言っているだろ。だが良かった、お前は一人で抱え込む事があるからな」
俺は笑った。ちゃんと笑えているだろうか。ごめんな、幸、彩。お前達に嘘をついて、臆病者な俺でごめん。
「ほら、早く教室に戻るぞ。次の授業に遅れるぞ」
「そうだな」
俺達は教室に戻った。もしこの事を彩が聞いてたら心配するからなと俺は何処かホッとしていた。でも、俺は少し罪悪感がある。幸に嘘をついてしまったこと、二人に隠し事をしていること。こんな俺を二人はきっと許してくれないと思いながら教室に戻った。
そこから俺達は自分の席に座りまたチャイムが鳴ったと同時に五時間目の授業の国語担当の先生が入ってきた。俺は国語が苦手でよく幸に教えてもらっていた。先生には失礼かもしれないが先生が教えるより幸に教えてくれる方が分かりやすいし。隣では幸は真面目に先生の話を聞きノートをとっている。俺は欠伸をしそのまま寝てしまった。
深く、暗い、闇の中に俺はいる。声をだそうに出なかった。嫌だ、嫌だ、本当は一人になりたくない。もっと彼奴等と一緒にいたい。
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