海の思い出

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海の思い出

「幸、おはよう。早いな」 「おはよう。お前もな」 二人で彩の家の前に待って一分もしないうちに彩と彩のお父さんが現れた。彩は紫色のタンクトップに黒の半ズボン姿、髪型はポニーテールの赤いシュシュに少しヒールのあるサンダルの姿でとても動きやすそうな姿だった。しかも彩が使ってる赤いシュシュは俺が今年、彩の誕生日プレゼントにあげたやつだとすぐにわかった。 「二人ともおはよう! 予想通り早いね。まだ8時じゃないよ」 「おはよう、彩。いや~余りにも楽しみでね」 「彩、近所迷惑だそ。もう少し静かにしろ」 「そうだよ彩。元気なのは良いがもう少し声のトーンを下げよ」 「えへへ、はーい」 彩のお父さんが注意しながら彩の頭を撫でとても優しそうに笑っていた。彩も素直にお父さんの言うことを聞いて声のトーンは下がったが元気なのは変わりなかった。俺と幸は彩のお父さんに挨拶をして車に乗った。 「よーし! じゃあ、出発!」 「わかったから静かにしろ」 「ほら彩、ちゃんとシートベルトして」 彩のお父さんの隣に彩が座り、俺と幸は後ろに座っている。彩のお父さんが車を走らせて一時間近くで海に着いた。 「海だぁー!」 「疲れた」 「幸、お疲れ」 彩が車を急いで降り海に向かって叫んでいた。それほど楽しみにしいてたのだと俺は思ったが、幸が何度注意しても彩は中々声のトーンを下げないのか、元気がありすぎるのか、幸はとても疲れているような顔をしていた。それもそうだ、車の中で彩はよく分からない歌を歌っていたから幸も大体呆れていたのだろう。彩のお父さんも彩が歌っているのにつられて歌いだして中々幸もうるさいとは言いにくかったかもしれないし。 「じゃあ私は着替えてくるね」 「僕達は場所取りするよ」 彩が自分のカバンを持ち「はーい」と手を振りながら女子トイレに向かった。俺と幸と彩のお父さんの三人で海辺向かい、少し海が見える所にレジャーシートを引いて彩を待っていた。 「いやーごめんね、二人とも。車の中煩かったでしょ」 「いえいえ、そんな事ないですよ。むしろ絵になる位二人は仲が良い親子ですから」 俺の隣で幸は「はい、とても元気過ぎますね」とやや疲れぎみで言っていたが、彩のお父さんは気にせず笑っていた。 「はっはっ! 相変わらず赤君は絵が好きだね。彩から聞いたよ。君、今度コンクールに出す絵が不安だって?」 「はい、中々想ったように描けなくて」 俺は無意識に何処か不安そうな顔をしてしまい、彩のお父さんは笑いながら俺の頭を撫でてくれた。 「僕はね君の絵には意味があると思う。その絵も何か意味があるけど君自身まだその意味がわかってないのかもしれない」 彩のお父さんが俺の頭に手を置いて優しく撫でながら「大丈夫だよ」と言ってくれた。その撫でられかたがすごく居心地が良くて、懐かしい感じもした。 「君の絵はどれも素敵だよ。だからもっと自信を持ちなさい。僕も君が完成した絵が早く見たいよ」 「有難う御座います。少し自信が持てました」 言っている事は彩と全く同じでやっぱり俺自身に問題があると考えると彩のお父さんは優しく撫でた手がいきなり勢い良く撫でられ驚いた俺は「うわっ」と声を出してしまい少し恥ずかしかったが、何処か安心した。それと同時に罪悪感もあった。俺は友人だけでなく友人の両親に、優しく接してくれてる人に俺は隠し事をしているから。 そう思っていると彩が水着姿で手を振りながらこっちに来るのが見えた。 「お待たせ。どう変かな?」 「彩、凄く似合っているよ!」 「可愛いよ」 一番最初に彩を褒めたのは彩のお父さんだ。その次に褒めたのは俺だけど、幸は褒める気力がないのかそれともどう言えば良いのかわからないのか顔をそらしていた。俺達も水着に着替え彩達の所に戻ると彩のお父さんが「じゃあ三人で泳いでおいで。僕は荷物を見ているから」と言ってくれてお言葉に甘えることにした。 「わーい! 赤、幸早く行こ!」 「そうだな。せっかく海に来たんだし」 幸は「俺は良い」と言う前に彩に手を引っ張られ無理やり連れて行かれ俺も二人の後を追う。 「冷たくて気持ちー!」 海の近くに俺達三人は行き、波が軽く来るとバシャバシャ音を鳴らし海に駆け巡るかのように彩は走り回った。 「彼奴の体力はどうなっている。元気で済むレベルじゃないぞ」 「若いね~」 俺がおじさん臭い事を言うと幸が隣から「じじいか」と突っ込まれ二人で海を眺めていると、彩が幸の顔面に思いっきり海の水をぶっかけ幸は眉間に凄いシワを寄せていた。ついに幸は彩にやり返すかのように海の水を彩に目掛けてかけた。こうやって見てるとまるで恋人同士見たいに見えた。 「恋人見たいで仲が良いね」 俺は思ってる事を口にしてしまい彩と幸は水を掛け合うのを止めて俺の方を見た。 「赤、それ本気で言ってる?」 彩が震えながら俺にそう聞くと次は幸が口を開き呆れながら言われる。 「鈍感だとは分かっていたが、まさかここまでとはな」 俺の頭はハテナだらけで何がなんだかよく分からなかった。 「彩、お前の今までの努力が無駄だな」 「そんな~!」 彩と幸だけ話していると彩が突然俺の方に来て人差し指を差しながら 「赤! 絶対落としてみせるから覚悟しなさい!」 っと殺人予告をされた。俺、彩に殺される。 「彩、人を指で指すな。それと殺人予告みたいになっているぞ」 俺は彩に殺されると冷や汗をかいた。何か悪いことでもしてしまったのではないかと頭の中でいろんな事を考えていると彩があたふたと手を振り誤解を解くように言ってきた。
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