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一週間の間
一日目
朝起きて携帯を見ると9時過ぎになっていた。父さんと母さんはおそらく仕事でいないから俺一人だと思うと少し寂しく思う。ベットから起き上がり一番最初に目に入ったのはまだ完成していない絵だ。
「朝飯食ってから描くか」
俺は誰もいない家にまずは洗面所に足を運び顔を洗ってから次にリビングに向かい朝食を食べようと思ったらハンバーグがラップがしてあった。
「……母さん……ありがとう」
俺は誰もいないのに母に礼を言いハンバーグを温めた。その間ご飯をよそい温まったハンバーグをレンジから出してラップを取り箸を持って手を合わせた。
「頂きます」
最初はハンバーグを一口食べその次はご飯を食べてと繰り返して食べ続けるといつの間にか無くなり俺は食器を洗って部屋に戻って絵を描く準備をする。
「カッターどこやったっけ……あっ、あったあった」
俺はカッターナイフで鉛筆を削っていく。削り終わり早速書き始める。
「………」
とは言っても俺自身どうしたいのかわからず鉛筆は止まったままだった。そして俺はあることを思い出す。俺は急いで別の鉛筆を出して紙にあることを書いた。書き終わるとその紙を三回折ってスケッチブックの中に入れた。
そして俺はやっと絵を描き始めた。学校の教室、学校の教室の中にいる幸と彩、ようやく気づいたよ俺の気持ち。でもやっぱり言えない。言うのが辛い、だから俺はその気持ちを絵にしようと思う。
「一週間もあれば大丈夫かな」
俺は描き続けた。手を止めることなく、自分の想いのままに描き続けた。しばらく描いていると手が痛くて描くのを止めてしまった。だが、よく見たら下書きはかなり進んでいる。少し休憩して宿題をやろうと鞄から宿題を出す。
「理科と数学からやるか」
俺の苦手な数学と理科からやり始めるが一人でやるのもつまらないから俺は携帯を出して幸に電話をした。
『何だ?』
「幸、すまないが宿題教えてくれないか。数学と理科に手こずってしまって」
『俺が教えなくても教科書を見ればいいだろ。お前もそこそこ頭が良い方だ、俺が教える必要あるのか?』
「頼むよ」
幸は携帯越しから唸り声をあげて数分悩んでいた。そして決心がついたのか「好きにしろ」と言われ俺は鞄に宿題と筆箱を入れて準備をして幸の家に向かう。
そして幸の家に到着し玄関のインターフォンを鳴らすと凄いドタバタと音をして玄関が勢いよく開き彩が出てきた。
「赤! 待ってたよ」
「何で彩が」
俺は彩に質問すると彩の後ろから幸が説明してくれた。
「お前が電話した後にいきなり来たんだ。それでお前も来るって言ったらはしゃいで今に至る」
「なるほど」
俺はつい納得してしまいとりあえず中に入れてもらった。
「お邪魔します。幸の家に行くの久しぶりだな。綺麗だし広いし」
「俺の部屋は分かるだろ。先に行っててくれ、俺は飲み物と何か菓子を持ってくる」
「はーい!」
「分かった」
俺と彩は先に幸の部屋に行き階段を上り左にあるドアを開けるととても清潔で塵一つも無い綺麗な部屋だった。本棚もあり見てみると料理系の本や勉強で使うのかそういう本もあった。すると彩は幸の本棚をジーっと見て本の後ろを見たりベットの下を見て何かを探していた。
「彩、何やっているんだ?」
「勿論、探しているの。男子高校生が必ず持っているものを」
「必ず持っているもの?」
俺はよくわからず首を傾げると彩は「ここには無い」と言って次は幸の机の引き出しを漁って探していた。
「何でエロ本が無いの! エロ本の一つや二つあってもおかしくないのに! 絶対何処かに隠してるな」
「無いと思うよ。彩、諦めたらどうだ」
「……何をやっている」
タイミングが良いのか悪いのか、幸はオレンジジュースとクッキーをお盆の上に乗せてドアの前で呆れた顔をして俺達を見ていた。
「エロ本ないかな~と思いながら探してた」
「そんなものが俺の部屋にあるわけないだろ」
「とにかく宿題をやろ、彩もその為に来たんだろ」
俺が言うと彩は「え?」みたいな顔をしていた。どうやら違うみたいだ。
「一応宿題は持ってきたけど……めんどくさい」
「めんどくさいけど今やっておかないともっとめんどくさいよ」
「とにかくさっさとやるぞ」
俺達は宿題を出して広げお互いに分からない所を教えあいながらやっていくとあった。
「幸、ここ分からない」
「これはアレだ。前に先生が大きい動物が小さい動物を食べて繰り返す……」
「食物連鎖!」
「幸、ここなんだが」
「そこはソコとソコが割れるから割って計算してみろ」
「出来た。流石だ幸。助かるよ」
こんな感じでやっていくと宿題も順調に進み気が付いたらあっという間に時間は過ぎ夕方になっていた。
「もうこんな時間か、早いな」
「本当だ。そろそろ帰らないと、赤、途中まで一緒に帰ろ」
「あぁ、良いよ。じゃあ幸、俺達は帰るよ」
「気を付けて帰れよ。最近、物騒だからな」
幸が玄関まで見送ってくれて俺達は並んで帰った。彩を無事家まで送る事が出来たから俺も家に帰ると母さんが先に帰ってきてたのか靴があった。
「母さん、ただいま」
「おかえり」
母さんは昔はとても優しかったのに今はそんなにだが家の事をやってくれているのはとても有難いし感謝してる。
「母さん、何か手伝えることは」
「無いわよ」
「分かった」
俺はテーブルを拭こうと布巾を濡らして絞りテーブルを拭き、母さんの作ってる料理を見て皿を出したりした。母さんが俺の出した皿に料理を盛り付け出来上がった時に父さんが帰って来た。
「ただいま、なんだか良い匂いがするな」
「お帰りなさい」
「父さん、おかえり」
母さんと俺は普通におかえりと言い父さんは部屋に戻って部屋着に着替えリビングに戻ってきた。
「美味しそうだな、こうして三人揃ってご飯を食べるのは久々だよ」俺と母さんは無言で椅子に座り父さんも座った。
「それじゃ、頂きます」
「頂きます」
「……頂きます」
母さんは少し間を開けてから頂きますと言って俺達三人はご飯を食べ始めた。久しぶりに親子三人で食べるご飯はとても上手く感じて俺は母さんが作ったご飯を味わった。すると父さんは突然何か思い出した。
「そうだ、明日、家族で温泉に行かないか」
突然の事だから俺も母さんも箸を止め父さんをじっと見ていたが父さんはお構い無しに話を続けた。
「ほら最近俺達三人で旅行なんてしたこと無いだろ。まぁ、一泊だけど、どうだ。三人で行かないか?」
「私は……どっちでもいいわ」
「俺は……行きたい。凄く行きたい」
俺は少し子供っぽく言ってしまい父さんに笑われるかと思ったら父さんは優しく笑いながら俺の頭を撫でてくれた。
「良し! じゃあ赤、飯食い終わったら持っていく物とか用意しろよ」
「あなたは、いつも突然過ぎなのよ」
「あはは、悪い悪い」
俺は急いで飯を食って部屋に行き持っていく物を用意した。
「やっぱりスケッチブックと筆箱ははずせないな。後はタオルと一応着替え……」
用意に時間がかかってしまったのか時間を見たら九時過ぎになっていて母さんが俺の部屋に来た。
「赤、早く寝なさい。明日、楽しみなんでしょ。全く、あの人はいつも突然過ぎるのよ」
母さんはため息をこぼしながら言っていたが母さんもきっと楽しみにしているんだって俺は思う。だって、母さん、少し笑っているから。
「分かった、もう寝るよ。準備も終わったし。おやすみ、母さん」
「おやすみ」
一言そう言って母さんは部屋に戻っていった。俺は部屋の電気を消してベッドに寝転がり目を閉じて深く眠った。
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