やり直し

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「死にたい」  ポツリと彼女が言った。 「じゃあ、死ねば?」  無表情のまま、なんの感情もない声で俺はそう言い放った。  彼女も無表情で俺を見つめていた。  その夜、八時過ぎ。  隣の家が火事になった。  そして、彼女はいなくなった。  そう、幼馴染の彼女が放火したんだと、俺はそう理解した。  彼女は火だけつけて、どこかへ姿を消したんだと。  だけど、彼女はその火の海の中にいた。  焼身自殺を図っていたのだ。  二十歳の女の子がガソリンをかぶって焼身自殺だと。  リストカットや服薬でもなく、首つりでも飛び降りでもなく。  家のリビングで焼身自殺だと。  恐らく、俺が止めなかったから。  やりきれねえ。
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