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最終話 お菊の敵討ち
悪代官の 鳥羽 吉右衛門と結託して悪事を働いている海産物問屋の 伊勢屋 藤八朗は…
上機嫌で酒に酔い…
秋の夜道を千鳥足で歩いていた。
「海産物問屋 伊勢屋藤八朗!……」
闇から姿を見せたのは、ほっ冠をした女の影。
藤八郎
「人が良い気分で酔ってるんだ…野暮はいけねえぜ…。
おっ!良い女じゃねえか…。
どうだ…お近づきに一緒に……ヘッヘッヘ…。」
お悠
「日頃の悪事を棚に上げて、千鳥足とは良い気なもんだ!
悪代官と共に何の罪もない町民達を殺生しやがって!
罪は・・あの世に行って、償うんだな!
これ以上 善良な町人を殺されたんじゃあ…
たまらねえ!
覚悟しな! 」
ブシュッ!
藤八朗
「ううっ! 女と見て油断したぜ……! 」
バタッ!
~~~~~~~~~~~~~~~~
悪代官の 鳥羽 吉右衛門も …
今夜は上機嫌で官邸に芸者を侍らし散財していた。
「これ!夢千代!・・
ワシの酒のシャクをせんか!
ほれっ、近くへ寄れ!
はっはっは。」
吉右衛門は呑みすぎて用を足しに廊下へ出た。
女の声
「悪代官、鳥羽 吉右衛門!」
吉右衛門
「うむ? 何奴じゃ…?
鳥羽 吉右衛門……今や…飛ぶ鳥を落とす勢いじゃ…!
怖いモノなど何も無いぞ!
者共!出合え!出合え!」
お悠
「日頃の悪事を棚に上げて・・
こうしてお上の屋敷にて芸者を侍らし・・
いったい どんな政(まつりごと)を しようってんだい?
盆天町の豆腐屋 佐吉と その娘の お菊。
その親子を試し斬りの道具にしやがって!
地獄の閻魔さまが許しても・・・
この お悠が、許さねえ!覚悟しな!」
ブシュッ!
吉右衛門
「カネを積んで、やっと代官の地位を得たのに・・・
無念じゃあ!」
バタッ!
手下達も酒に酔い…出てきた時には…
お悠の姿は無く…
白い雪の上に倒れた吉右衛門の…
汚れた血が地面を どす黒く染めていた。
~~~~~~~~~~~~~
いつの世も、悪の栄えた試し無し!
悪党が栄え、善人がバカを見る・・
そんな世の中は、早く終わりにしてえもんだ。
悪人の魂にも、南無阿弥陀仏☆
……………………… 完 ……………………
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