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第9話
周りがざわついているのが分かった。
それと同時に、しまった…と思った。
「誰?あの地味な奴」
「平凡のくせに獅堂くんに抱きついて…」
「立場わかってんの?あいつ」
小声だけど、しっかり聞こえる。
全部、僕への罵倒。
全部全部、僕に重くのしかかる。
「獅堂、お前何してんの?」
「あ、陽千華(はるちか)先輩!」
しーくんを呼んだその人は、まるで天使の様なひとだった。
クリーム色の髪に桃色の瞳。
「あ、陽千華先輩!じゃねぇよ…誰?そいつ」
「俺の幼馴染みの、深山尋衣です!」
…………んんんん!?
し、しーくん、大発表しちゃった…!
バレるとまずいんだよね…?(そうだよ)
華江くんと貴世くんを見ると、青ざめていた。
僕も真っ青です…。
「は?嘘でしょ…?」
「あんな地味な奴が…?」
さらにざわつく食堂。
しーくんの先輩も、訝しげに僕を見る。
「ふーん…行くぞ獅堂」
「え!感動の再会なのに!!」
「うっせぇ!会長が待ってんだよ」
べりっ!と引き剥がされ、ズルズルと引きずられていくしーくん。
「わーん!尋衣ーー!」
「チッ…おいお前!」
先輩が振り返って、僕を睨む。
「は、はい」
「獅堂の幼馴染みだか何だか知らねぇが、こいつに近づくな。俺たちは生徒会だ。立場をわきまえろよ、平凡」
吐き捨てるように言って、去っていった。
「尋衣は平凡じゃないですぅーー可愛いしぃーー」という、しーくんの声が聞こえた。
周りの人達も、僕を睨んだり、軽蔑する顔で見ている。
「おい、食事中だ。全員席に戻れ。」
その場の空気を震わせる、低く凛とした声。
声の方向を見ると、背の高い、風格のある人が立っていた。
また食堂がざわつく。
「わぁ〜堂島宇京 (どうじま うきょう)だ…」
「おい、今の内にここ出るぞ!」
華江くんと貴世くんに腕を引かれ、食堂から逃げるように出る。
な、なんか、大変だった…
「っあ〜もう!獅堂くん公開処刑したよ!?」
「やってくれたな、あいつ…」
「あ、あれは僕も流石にビックリしたよ…」
「とにかく!ひーくんは絶対1人で行動しちゃダメだよ!!」
「親衛隊はもう動くだろうからな」
「わ、わかった!」
「大丈夫!僕達ケンカは強い方だから安心して!」
「ぼ、暴力はダメだよ…!」
「親衛隊の奴らはチワワみてぇなのが多いから、あー、まぁ50人は軽く潰せるぜ」←
「軽くない!軽くないよ…!」
入学初日で、色々大変なことになってしまいました…
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