第11話

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第11話

やな事がある時って、時間の流れが早く感じるんだね。 はい。もう午後なんです…。 風紀室に行きます。 「ちょっと、深山尋衣」 振り返ると、5人ぐらいのグループがいた。 わ、みんな美形だ… 「どういう事か知らないけど、風紀委員の方々の迷惑になるようなことをしたら、潰すから」 「…はい、」 ますます怖い。 多分、彼らは風紀委員の親衛隊だ。 用心しなきゃ…。 確か、風紀室は本館の3階だったはず。 ここからはちょっと遠い。 「はぁ…」 憂鬱な気分で風紀室に向かった。 風紀室と書かれたプレート。 ついに到着してしまった。 深呼吸をして、ドアをノックした。 「はーい、あれ?君は…」 灰色の髪の優しそうな人が出てきた。 「あ、あの、新しく風紀委員になった、1年5組の深山尋衣です…」 「深山……あぁ!桐生獅堂の幼馴染みの子だ!」 「うっ、そ、そうです…」 「そっか君が風紀委員にねぇ〜。OK、入りなよ」 「し、失礼します…」 中に入ると、大きなデスクに座る、風格のある人。 食堂で見た、風紀委員の人だ。 「宇京、この子が今日から風紀委員になるって子」 「み、深山尋衣です、」 「…そうか」 スッと、切れ長の目が僕に向けられる。 ドキッと胸が脈打つ。 ……何だろう、今の。 「委員長の堂島宇京だ。」 「副委員長の神崎 基(かんざき もとい)だよ〜」 「よ、よろしくお願いします」 「他にもいるんだけど、今は別の仕事中なんだ」 あ、あれ? 意外といい人たち、なのかな? 「まぁまぁ座って!立ち話もなんだし」 ストン、とソファに座らされる。 「で?君、ホントに桐生獅堂の幼馴染み?」 「え…」 「んー、だってさ。こんな平凡、というかむしろ地味な子が、そんな訳ないって皆言ってるよ?」 神崎先輩の目が、さっきより少し冷たい。 「本当です、」 「ふーん?信じ難いなぁ〜。ね?宇京」 「……」 堂島先輩は黙ったままだ。 「てゆーかさ、この前髪邪魔じゃない?」 「あ、」 スル、と前髪が視界から少しだけ消える。 しまっ…! 「……!君っ…」 「どうした?神崎」 パサ、と前髪がもどる。 「…ううん。何でもなーい」 神崎先輩は立ち上がると、部屋を出てった。 今は堂島先輩と2人きり。 心臓がバクバク言ってる……! 「深山」 「はい」 「こっちへ来い」 「はい…」 な、何されるんだろう…。 堂島先輩の前に立つと、横に来いと言われ、慌ててそっちに行く。 じっと見つめられる。 「……?せ、先輩、わっ!」 グッと腰を引かれる。 堂島先輩の太ももに向かい合って座る感じになってしまった。 な、なになになになになに(( サラ、と堂島先輩は僕の前髪をかきあげた。 ドクッと緊張する。 「…フ、理事長の言った通りだな。」 「え…?」 「理事長に言われたんだ。生徒会の親衛隊からの攻撃を避けるためにな。」 「!」 「俺が言うのもあれだが、生徒会の親衛隊は少々マナーが悪い。風紀委員の親衛隊の方がまだ大人しい。」 獅之助さんは、そこまで配慮してくれたんだ…。 後でお礼しなきゃ。 堂島先輩は、風格あるし怖いって思ってたけど、優しいんだな。 ちょっと安心。
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