第2話

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第2話

車を降りると、正門の前に男の人が立っていた。 キッチリとスーツを着こなした、賢そうな人だ。 「では、お荷物はお部屋の方に運んでおきますので」 「あ、はい。ありがとうございます」 平賀さんは僕のキャリーケースを持つと、歩いて行った。 多分、あっちが寮なんだろう。 「君が深山尋衣くん?」 スーツの人が話しかけてくる。 「はい、そうです」 「お会いできて光栄です。私は有栖川辰巳(ありすがわ たつみ)という者です。理事長の秘書をしています。」 ひ、秘書さん…! 獅之助さんの、直々の部下さんだ…! わぁ…、この人俳優さんみたいにかっこいいな… 「あ、あの、深山くん?」 「はっ!す、すみません!つい見とれてしまって…」 ってどわぁーーーー! 何言ってんの僕気持ち悪ぅい…! 「すみません、気持ち悪いですね僕…」 「い、いえ…!ふふ、嬉しいな。ありがとうございます」 お花が!お花が見える!ぶわぁって! 花が咲くように笑うんだなぁ… 「それでは、理事長室に案内しますね」 「!は、はい」 有栖川さんの後ろに続いて歩く。 資料で見たけど、凄いなぁ…お城みたいだ。 花とかも綺麗に咲いてて、庭園かな? わ、噴水もある…! 「ここ、ホントに日本かなぁ…」 「ふふ、分かりますその気持ち」 「有栖川さんもですか?」 「初めて来た時はびっくりしましたよ、ホントに学校か?って」 そりゃそうだ。初めて見たらこんなの… ピロティをくぐってさらに進むと、校舎の中心の中庭に出た。 あ、ここも噴水。 「深山くん、こっちです」 「あ、はい!」 しまった!見すぎた… 「すみません…」 「いえいえ!美しいですよね、どこもかしこも」 「はい…」 「理事長室は、校舎エリアで1番大きな本館の最上階にあるんです。」 「最上階…」 校舎内に入ると、ステンドグラスが廊下を照らしていた。 万華鏡のようだ。 壁は大理石。 西洋のお城みたいな内装。 「映画のセットみたい…」 「映画の撮影でも使われたりしますよ」 「え!!そうなんですか!?」 「はい」 凄すぎだよ… もうお腹いっぱい… 「ここが理事長室です。」 気がつけば、目の前には大きな扉が。 (コンコン、) 「入りなさい」 !獅之助さんだ…! 「失礼します」 「し、失礼します…!」 扉の向こうにいたのは、子供の頃会った時と変わらない、獅之助さんだった。
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