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1:海辺にて罵りあい
見渡す限り広がる白い砂浜。
透明度の高いマリンブルーの海。
てっぺんに鮮やかな緑色の葉を茂らせる背の高い椰子の木。
澄み切った青い空。そこに浮かぶふわふわとした白い雲。
そんなリゾート地としか思えないロケーションのなか、三人の男たちが、なにやら揉めていた。
「どうせ、こんなことになるんじゃないかと思っていたんですよ!」
と、コータロー(御年二十八歳)は言った。
「あなた方に応援を求めるなど、なんたる失態・・・。私ともあろうものが、愚の骨頂も甚だしい」
コータローは、切れ長の眼を閉じると、グレーレンズの入ったサングラスを外し、嘆かわしそうに眉間に指を当てた。
それを聞いて、ユタカ(御年二十六歳)が怒鳴った。
「なんだと! 人に頼みごとをしておいて、そんな言い方あるか!」
茶色く染めた髪をお団子にして結っていたのだが、ここに至るまでの過程で髪は既に乱れていた。さらにその髪を振り乱して、ユタカはコータローに詰め寄った。
「だいたい、てめえがあんなこと言い出さなきゃ、俺もタッペイもこんな目に合ってねえんだよ! この疫病神がっ!」
ユタカは、歯茎を露わにしながら、コータローの鼻先に人差し指を突き付けた。
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