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3:人肉無害
「タッペイ、お前と二人なら、俺は、こんな訳の分からん場所でもなんとか生き抜いていけると思う。でも、こいつは別だ。人肉無害を通り越して、あきらかに邪魔だ」
「そりゃあ、もしかして人畜無害じゃないですか」
0.3秒でコータローにツッコミを入れられて、ユタカは「きーっ!」と悔しがった。
「ほら! こうやってすぐ人の揚げ足を取る! そんなやつとうまくやっていけるわけねえ!」
「ユタカ・・・」
ユタカを取りなそうとしたタッペイを遮って、コータローが言った。
「私もです。あなた方のような愚鈍で間抜けな輩と行動をともにしていては、こちらの身が危ぶまれます」
タッペイは、コータローに顔を向けた。さすがに、かちんときていた。
「そんな言い方、ないんじゃないのか」
「ヒラのくせにため口ですか? 本当に育ちが悪いですね。私はあなた方より階級がずっと上なんですよ」
タッペイはまっすぐにコータローの目を見返した(ついでなんで記載すると、コータローは身長175センチ、タッペイは174センチなので、この二人はそんなに身長が変わらない)。
「僕たちは、時代の流れで仕方なくこうなっただけだ。自らの意志で、初めから人殺しの組織に所属しているあんたと、一緒にするな」
ユタカが、味方をするようにタッペイの肩をがっしりと組んだ。二人して、コータローに正面を向ける。
コータローは、サングラス越しに二人を見つめていたが、はっとしたように目を見開いた。
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