4:勘違いBL

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4:勘違いBL

「まさか、あなた方」 「え」 「BLですねっ?」  タッペイは耳を疑った。  ユタカは、 「ビーエル? ビーエルってなんだ?」 と素直に疑問を口にした。  コータローは、ユタカの質問を無視して続けた。 「だから、あの時、従順に私の指示に従ったわけですね・・・。初めからおかしいと思っていたんですよ。あなた方のような低俗な人間が、あの状況で異性に興味を示さないなんて、まず有り得ない・・・」 「人聞きの悪いこと言うな!」  タッペイがまず、反論を試みた。 「BLの訳ないだろ! 肩組んだだけで、どうしてそこまで極端な発想になるんだよ!」 「なあなあ、タッペイ、ビーエルってなんだ?」  まだこだわっているユタカに、タッペイはいささか疲労した口調で告げた。 「そこから説明しないとダメか、ユタカ・・・」 「ピーエルだったら知ってるぞ。患者には出すけど医者が飲まない薬で有名な、あれだろ?」 「そういうこと、軽率に言うもんじゃないぞ・・・。BLってのは、ボーイズラブの略だ」 「ボーイズ? おっさんずじゃなくて?」 「意味合いは同じだよ」 「同じか? するってえと・・・」  一分近く思案したのち、ユタカは顔を真っ赤にして叫んだ。 「ふざけんな! 俺とタッペイは親友だけど、そういう関わりはないわ! そもそも、俺にはワイフがいるし!」  ここで、ふいにユタカの顔から怒りが消えた。うっとりとした眼差しで空を見上げる。 「タメコ(漢字表記は多米子)は、世界一のワイフだあ。働き者で、気立てもよくて、おまけに有村架純(ありむらかすみ)にそっくりだかんな!」 「なんと不潔な!」  コータローは、まるきりユタカの話を聞いていなかった。
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